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ガイベル
2026-01-12 23:34:47
2468文字
Public
お話
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あなたが運命の人
振袖バジルくんイラストからの三次創作
サニバジ小話です。
どうしてこんなことになってるんだっけ?
鏡の前にいるのは、見慣れない衣服をまとった自分。
……
自分、だ。
花が散りばめられた鮮やかな柄のそれは、着慣れたシャツやパーカーなんかよりも重たくて、少し身動きが取りにくい。お店に入った時に軽く説明を受けたが、これは日本の衣装で着物、というものらしい。厳密には着物にも色々種類があるみたいだけど
……
。
日本といえば、以前サニーくんと一緒に学生服を着て、お互い写真を撮りあった事があった
……
かな。その時の事を思い出しても、ぼくがはしゃいでいるばっかりだった気がするけど。案外サニーくんも楽しかったのだろうか。着慣れない服はハロウィンの仮装のようで、少しだけ非日常感があるからかもしれない。
そんなサニーくんはもう既に黒い着物への着替えが完了していて、同じ部屋の後ろの方で静かにこちらが終わるのを待っている。羽織に
……
袴?という、普段とは異なる装いも、綺麗な黒髪の彼にはよく似合っていて、かっこいいな、と思った。
意識してしまうと顔が少し熱い気がする。
……
しかし彼の方は割とすんなり着替えも終わったはずなのに、自分はなぜか色々な所に布を当てられたりタオルを巻かれたり、なぜか複数の店員に囲まれ、もみくちゃにされ、紐や帯でぐるぐる巻きにされ、既にぐったりしてきている。これが終わったらサニーくんと一緒におでかけする予定だけど、それまで持つだろうか。
……
それに、これってもしかして、サニーくんの着ているものとはそもそも形が違うんじゃないだろうか。あまりに工程が多すぎる。店に入ってから薄々感じていた事が、だんだん確信に変わりつつある。室内にあるサンプルやカタログの写真を見ても、サニーくんの方は明らかに男性用で、自分の方は
……
。
いや、でも今更、ここまで真剣な顔で手間をかけてくれている人たちに
『ちょっとこの衣装は間違いじゃないんですか?』だなんて聞ける勇気、ぼくにあるわけがなかった。止めたくても、きっと蚊の鳴くような声しか出せないだろう。
一縷の望みにかけて、こちらの様子をずっと見ているサニーくんに鏡越しに助けを求めるようにアイコンタクトを送る。
『ねえ、これって女の子が着るやつじゃないの
……
?』
すぐに目線がばちりと合った彼は、何か言いたげなぼくの様子をみても、こくりと頷くばかりだった。焦りが募るこちらとは対照的に、ゆったり座って腕組みをしながらリラックスしている。な、なにも、伝わってない
……
。
そうしている間にもテキパキと作業は進められ、気づいた時には豪華な髪飾りや薄い化粧まで施される始末だ。たとえ薄くても、唇や頬にまで色が乗せられるといよいよ退路を絶たれた気分で、やっぱり恥ずかしい。
この責任は、一体だれが、どう取ってくれるというのだ。
抜け殻になりかけているぼくの目の前に、今度は少し大きな箱が置かれる。シンプルなパールのようなものから蝶々、お花、星や動物。たくさんの小物が並べられたそれを『選んでくださいね』と言われても
……
。それがそもそも一体何に使われるのかわからないまま呆然としていると、いつの間にかぼくの隣に来ていたサニーくんの手がスッと迷いなくその中のひとつを取り上げた。
「これ」
「えっ
……
?」
「バジルはこれがいい、でしょ」
確信を持った声と共に差し出されたのは、白いチューリップをかたどった小さな飾りだった。それが至極当然のことのようにまっすぐな瞳でぼくを見つめる彼に、やはり何と返せばいいかわからない。
が、その間だって時間は止まるわけではない。店員さんが「選びました?これですね」などと言いながら次の瞬間には、その飾りは手際よくぼくのお腹の位置で留められてしまった。
……
これで、本当に完成らしい。
ぼくの意識のほとんどは、今しがた自分の中心に据えられた一輪の白い花に向いていた。だってこんなのどうしたって顔が熱くて、どきどきする。飄々としているように見えるサニーくんが少し恨めしい。
もちろん、ここにいるぼくとサニーくん以外のだれもが、白いチューリップの意味することを知らない。この花が象徴する人物を、概念を理解していない。そんなのは、当たり前なんだけど。
ひと仕事終えたためか、晴々とした表情の店員さんたちが店先まで見送りに出てくる。
外は天気が良くて、澄んだ冷たい空気が心地よい。
「お二人ともお疲れ様でした〜」
「とってもお似合いです!」
「お好きなんですか?チューリップ」
突然話しかけられてびっくりした様子のサニーくんが、思わずといった様子で近くにあったぼくの手をぎゅっと握る。繋いだ手は着物の袖口に隠れて周りからはわからないと思うけど、まるで想像していなかった質問に言葉もなく緊張している事が伝わってきた。
単にサニーくんが最後の飾りを選んだことへの、なんでもない店員さんの世間話なんだろう。
──でも、この質問の答えとして相応しいのは、きっと
……
。
ぼくは今度こそ少し誇らしい気持ちで、サニーくんの手を握り返す。
「──ぼくが、大好きなんです」
終わり
___
(すでに成人の日を過ぎておりますが)
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
けいさん@ panyanonidaime2
の素敵な振袖バジルくん(+サニーくん)イラストの衝撃から、そちらを元にサニバジ文にする許可をいただき、このような形になりました。
兎にも角にも元イラストのバジルくんが本当にかわいい!そしてサニーくんの垣間見える独占欲、アピールが垣間見える会話がたまらないですよね。
けいさん本当にありがとうございます。
サニバジって本当に最高だな
……
題名はチューリップ1本の花言葉
『あなたが運命の人』より
(仮題/ハレノヒ)
本年も変わらずサニバジとオモバジを中心にひっそりやかましく、そしてのんびり活動していけたらと思います。☀️🌻
どうぞよろしくお願いいたします。🔪🍉
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