銕仙会定期公演〈1月〉
観世能楽堂
2026年1月11日(日)13:30開演
「翁」
翁:観世銕之丞
三番叟:野村裕基
千歳:観世淳夫
面箱:石田淡朗
笛:竹市学
小鼓頭取:飯田清一
小鼓脇鼓:住駒匡彦
〃 :住駒充彦
大鼓:柿原孝則
後見:清水寛二、安藤貴康
三番叟後見:深田博治、飯田豪
能「田村」替装束
童子/坂上田村麿:長山桂三
旅僧:村瀬提
従僧:村瀬慧、矢野昌平
清水寺門前ノ者:石田幸雄
笛:一噌庸二
小鼓:幸正昭
大鼓:安福光雄
狂言「花盗人」
男:野村万作
何某:野村萬斎
後見:深田博治
能「羽衣」彩色之伝
天人:馬野正基
漁夫白龍:宝生欣哉
漁夫:宝生朝哉、小林克都
笛:藤田貴寛
小鼓:大山容子
大鼓:佃良太郎
太鼓:桜井均
*・*・*
先週の歌舞伎座に続いて、2026年の“観能始め”かつ“萬斎始め”でございました(笑)
全体的に新春を感じさせる演目尽くしで、満足度高しな会でした🤗
※初見以外の演目は、あらすじ割愛させていただきます🙇
「翁」
シテ方も、狂言方も、お囃子も、みんなキレッキレ!👏
凛とした淡朗さんの面箱、銕之丞先生の厳格さを感じさせる翁、淳夫さんの力強い千歳、そして、父の力強さを引き継ぎながらも、ひとつひとつの型が丁寧で、本人の誠実さを感じさせる裕基くんの三番叟。
もうね、完璧な“翁”で、まさに“神事”👏
裕基くんは紫の装束が似合ってて、とてもカッコ良かった。目力の強さから緊張感が伝わってくる。でもパパンみたいに、勢いよく飛び出すのではなく、どこか本人の真面目さだったり、誠実さを感じさせるような身体の動かし方だった。パパンの美しい面返りや、足拍子の力強さを受け継ぎつつも、彼の個性が徐々に滲み出てきているのを感じて胸が熱くなった🥹
また鷹之資くんと二人三番叟を演って欲しいねぇ。きっと、歌舞伎と狂言のコントラストが、前回以上に色濃く出る気がする。
あと小鼓隊が見事な揃いっぷりで、観てると目が覚めるくらい(笑)気持ちよかった。そして大鼓の柿原さんと裕基くんの第一声が見事にリンクして一体となっていたのには驚いた。なかなか良いコンビかもしれん。
んで、竹市さんの笛が見事なのは、ここでは敢えて言うまでもないだろう😁
能「田村」替装束
春の清水寺に現れた不思議な童子は、実は坂上田村麻呂の化身であった…。桜満開の春の宵に語られる観音の霊験譚を描いた能。(銕仙会HPより)
「替装束」の小書(特殊演出)がつくと謡や型に変化がある他、前シテが童子姿から喝食姿となり、後シテも面が平太から天神に、装束が法被肩脱ギ姿から唐冠、黒頭、狩衣の肩上ゲ姿に変わって剣を背負うなど、より軍神としての性格が強調される演出となる。本日使用する面は前シテが喝食で近江作、 後シテが天神で洞白作。(公演パンフより)
初見の演目。春が舞台で、勝修羅三番のひとつということで納得の選曲。替装束の小書きによって、新春に上演するに相応しい見た目となった。特に後シテの面、インパクトあるお顔だが、口角が上がっていて、何処となく笑みを浮かべてるようで、それが気前良さそうに見えたのが印象的だった。今を取り巻く暗闇の先には必ず光があると感じさせるような、とても力強い舞だった。
狂言「花盗人」
万作&萬斎親子の「花盗人」は、初めて観た時から大好きな演目。昨年、大蔵流のも拝見したが、実は登場人物の人数も内容もかなり違う(笑いに対して素直というべきか)。なので改めて和泉流のを観て、終わりよければすべて良し!のような、何故あんな美しさに特化したような終わり方になったのか作者に訊いてみたくなった(笑)
芸は身を助けるとはいうが、和泉流の「花盗人」は、桜の主が結果的に“罪を憎んで人を憎まず”のような、おおらかな態度をとる所が好きだ。現実だったら盗っ人に対してそれを実行するのは、なかなかムズカシイ気がする。そんな主を萬斎さんはこの日も素敵に演じていた😌
一方、万作さんは盗っ人のちゃっかりぶりをチャーミングに演じており、その度に見所がウケてたのが印象的。イケナイことをしようとしてるのに、どこか憎めない、そんな可愛らしさが溢れていた。根っからの悪人ではないからこそ、最終的に主人に気に入られるのも納得。正規ルートで桜も手に入り、みんなハッピーエンドで一件落着!イイ話だなァと再確認した🤗
今回の装束は、アド萬斎さんの裃が発色の良い濃い黄緑で、本人と桜が引き立て合うようなコーデ。一方、シテの万作さんは小袖が淡い黄色、肩衣が淡い水色、袴は淡い茶系で、優しい色合いがこれまた桜を背景にしたり、持ったりした時に似合うコーデだったのも印象的だった。
両者の好みとセンスの良さが表れていて、視覚的にも楽しめたのが良かった😌✨
能「羽衣」彩色之伝
人気演目で何度か拝見しているが、過去イチ解像度が高い状態で観ることが出来た。てか、初めて観た時は、まだ観能2度目で睡魔との戦いだったのだ😂
なので当時の自分と比較して、お目目パッチリで、むしろ覚醒している状態にビックリした(笑)が、それくらいおシテの方が、すんばらしかったのである✨
人間とは違い、天人の存在感(オーラ)はどこか無機質な雰囲気があるが、決して無感情ではない。羽衣を返して欲しいと願う表情は心打たれるものがある。その絶妙なバランス感が“人ではないものの美しさ”として表れており、ずっと見惚れてしまった。
ワキ方が人間国宝である欣哉さんだったのも良かった。てか、ここは単純にワキ方の推しなので、新年早々、こっちの推しも観れて幸せだなァという気持ちもあったのだが(笑)
最後はシテは後ろ向きで幕の中に入るが、それが空に吸い込まれていくような感覚で、その様子を名残惜しそうに見つめるワキも印象的で、これまでは“あぁ、とても綺麗な天女だったね”という印象だったものが、気付けば
“とても好きな演目”として、心に残った。
帰り道、余韻に浸りながら、この演目が何故人気なのか、また初心者にオススメなのかを改めて考えた。羽衣伝説をベースにしていて内容が分かりやすく、上演時間も60分程度と長くない。雑な言い方だが、手っ取り早く“美しい女人(天人)の舞”を堪能するには、うってつけだろうと思い、ようやく納得した。
…が、やはり観る側のステータスに睡魔耐性があるならば、と付け加えておく。これがないと、あっという間にこちらが先に夢の世界に行ってしまうだろうから(苦笑)
睡魔耐性が無い方には「土蜘蛛」とか派手めな演目の方が向いてると思われる。でも観続けてると、最終的にどんなジャンルでも楽しめるようになるんじゃないかなと思う。今の自分がそうだから😌
やはり“観能”ってスルメだなァと、改めて感じた1日になった。これだから、能を観るのをやめられないのよ。
過去の観劇日記はコチラから⬇️
https://privatter.me/user/mijuppa
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