物語は10年前、“横須賀災厄”と呼ばれる“ケースN”から始まる。――天涯孤独となった少女がいた。――愛する妻を失った男がいた。――力に魅入られ、世界の真理に至った男がいた。
「坂東秀行(ばんどう ひでゆき)、これは10年以上前の写真ですが」「青葉製薬の創始者である故青葉孝蔵(あおば こうぞう)氏の懐刀、技術者として名が知られていました」「書類上は10年前に青葉製薬を退社したとありますが、その足取りは追えていません。おそらくは裏に回り、青葉製薬の暗部を取り仕切っているのでしょう」