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【小説】少女、気になる

モノメビミカヅチ→アクタがフレーバー程度にある。
以前にTwitterにアップしたものの再録。

「ねえねえ‼ アクタはミカヅチのことどう思ってるの?」

 ブハッと傍らで酒を噴き出したミカヅチには触れず、アクタは「……おう、どうした突然」と盃から口を離す。
 遠征帰りのミカヅチから酒を受け取ったのと、シューニャによる暴露から、もういっそ全員で呑もうな!とハルも纏めて酒の席に呼んだのだが、それにしてもこの直球具合は凄まじいな。
 とりあえず盃は下に置き、酒が気管に入ったのか、咽せるミカヅチの背を擦ってやる。
 おいおい、と呆れつつもシューニャを止めない自称保護者がそれで? と続きを催促してくる様を見て、お前、面白がってるな……? と胡乱な目付きでハルを見たのは仕方がないだろう。

「だって、ミカヅチはこぉんなにアクタのことが大好きなのに、」

「好きじゃ、ねえ‼」と横からクワッと噛み付くミカヅチに、お、回復したか、とアクタは擦ってやっていた腕を下ろす。
「ええ〜っ嘘は良くないぞ‼」「違うと言っている‼」と白熱し出した若人を眺めつつ、再度持ち上げた盃を口に運ぶ。

 ……うめぇ

 ミカヅチの持ち帰った酒の口当たりの良さに、これは何杯でも行けそうだとアクタの口元は自然と緩む。
 空になった盃に、おかわり、と酒瓶を探し──隣から注がれたそれに「おう、ありがとな」と横を見やった。ハルだ。

……お前さん、なにしてんだ」

 未だ、わーわーと若人たちが元気なのはこの自称保護者が止めに入っていないせいか。

「いやぁ、この酒、マジで美味くってつい」

 悪びれた様子もなく己の盃にもおかわりを注ぐぬいぐるみである。
 いや、どうやって呑んでんだ?
 思わず、純粋に気になったアクタである。

「しかし、だ」

 そう続けられた言葉に「ん?」とアクタは首を傾げた。

「何がだ?」
「いや、お前さん、ホントのところ、ミカヅチのヤツをどう思ってんだ?」

 そう尋ねられてアクタは瞬く。

「好きだが?」

 素直に答えたそれに、「いや、そういうのじゃなくてだな」と間髪入れず首を横に振られた。
 なんだよ。
 アクタはそのピンク色のぬいぐるみの、人間味に溢れた仕草に、嫌そうに顔を歪めた。
 ハルのヤツが聞きたいことはわかる。
 わかるが
 渋ったように口元を歪めたあと「まあ、応えられるかは、わからんが……」と未だに取っ組み合いを続ける姿を見やり「嫌いじゃねえよ」と再度、ハルへと視線を寄越した。

 これで勘弁してくれ

 どこか困ったように笑うアクタを見やって、ハルはやれやれと首を横に振った。
 随分ズルい大人だ、と。
 そう言ってくれるなと苦笑したアクタに「ねえ!」とシューニャが飛びついてきた。
 おっと、と落としかけた盃をしっかりと持ち直す。
 飲み干してて助かったと、少女が濡れなかったことに安堵したアクタである。
 あっ酒瓶!
 ──ああ、ハルが死守してくれたか、助かったぜ。

「アクタはミカヅチより、私のことのほうが大好きだよね⁉」

 どうしたと問い掛ける声を遮って発したシューニャの言葉に、「へ?」と声を漏らしたアクタは悪くないだろう。
「あ゛あ⁉」と向こうから声が上がったのが聞こえたが。
 お前さんたち、あっちで取っ組み合いしていた間に論点がズレてねえか? とアクタは思わず困惑する。
「おいおいおい」と隣でハルも呻いているじゃないか。
 おい、自称保護者、止めてくれ。

「ねぇっねえったら」

「おい‼」と荒ぶるシューニャを止めようとミカヅチが再度声を上げるも、少女はべ〜っと舌を出して反攻した。

「ミカヅチなんかよりも私のほうが大好きなんだよ!」

 ぎゅうっ、と抱き着いてくる少女に、「これ事案か……?」と思わず呟いたアクタへ「はたから見るとやべぇ感じ」とハルが相槌を打ってくる。
 なら止めてくれ、と思ったアクタだった。
 というか、もしかしてこいつ等めちゃくちゃ酔ってるのでは?

「〜〜っ」

 その様に爆発したミカヅチが「俺のほうが大好きだが⁉」と叫んだのか、否か。
 彼の名誉のために、それ以上の記録はやめておこうと思う。




 ちなみに次の日、飲み過ぎによる二日酔いにぶっ倒れた若人が二名居たらしい。
 ――飲みやすい酒には注意されたし。