洗い場をブラシがけし、乱れ置かれたシャンプーボトルを整理し、排水溝に絡まる髪の毛を取り除き
……。
無心で清掃に集中しようと心掛けるのに、頭のど真ん中にあるのは、先程見た鮮烈な色気を放つ宿儺先生。
逞しい雄っぱいに、滴る水滴。
ふわりと遅れて香ったせっけんの匂いに、風呂上がりの熱くて湿った体温を間近に感じてしまった
…。
宿儺先生のカラダ、かっこいいんだよなァ。
人手不足なのに任務のお声がかからない補助監督の私には、お見掛けする機会は無いんだけど。
しかし、ラッキースケベにも程がある。
ギュッと目を閉じて頭を横に振り、脳裏に浮かぶ光景を振り払おうとするも、彼の鍛え抜かれた肉体をより際立たせるように美しく流れる胸筋の呪印と、水滴の滴り落ちる身体がより鮮明に瞼の裏に浮かんでしまう。
「
…………っはぁ
……。」
私って、こんなスケベだったっけ。
宿儺先生の裸体を見て、喜んでしまうだなんて。
どこか落ち込んだような複雑な気分で脱衣所に繋がる戸を開き、やり残した清掃の続きをしようと戻ると
…。
脱衣所に置かれた背もたれのない長椅子に座る宿儺先生が、真っ直ぐに私の方に顔を向けて待っていた。
もちろん今度は服は着ているのだが、ワイシャツの胸はパツパツで弾けそうで、下はグレーのチノパンを履いている。服を着た姿を見ると、先生に見えなくもない。
「どっ
…、どうしました?お掃除するので、出ていってくださいね?」
「お前、補助監督だろう?
……何故いつも雑務ばかりをしている。」
「え?、、あー、えっと
……そうですね、ちょっとした事情がありまして。」
そうか、宿儺先生とは一緒の任務に入って粗相があると殺されそうだし、失礼のないよう任務に組まれる事が無かったから、私なんかの事はよく知らないのか。
そうとなれば、かくかくしかじか
…。簡単に訳を説明していたのだが、その途中で全てを理解したらしい宿儺先生は不意に下を向くと、頭を抱えて肩を震わせだした。
ものすごく笑ってる?
いや、私は笑い事ではないのだが。
そのまま、私の話を聞いてひとしきり笑った宿儺先生は、ひとつ深呼吸をして笑いを落ち着かせると顔を上げ、私に向き直る。
「これからは俺の任務に同行しろ。俺専属の補助監督として、しっかり働いてもらう。」
「───は?」
「早速、明日から遠方へ任務だ。どうせ業務予定は空いているだろう?」
「は?え
…、えぇ、まぁ
……。」
「良かったな、明日からお前は特級術師の専属補助監督員だ。」
ジッと、私を見定めるような宿儺先生の視線が絡みつく。
鋭い視線に身体がすくみ、突然湧いて出た話にも理解が追いつかず言葉が出てこない。
「ぃ
……いやっ、でも」
「働きぶりに期待している。」
思うように言葉を紡げずにモゴモゴと口の中で詰まらせていると、そのうち宿儺先生は長椅子から立ち上がり、背を向けてしまう。
「いやっ、待っ!まって、宿儺せんせ!?ほんと待って!行かないで!!」
情けない声をあげる私の制止なんて、宿儺先生はもちろん聞いてくれるはずもなく、ゲラゲラと嗤いながら立ち去っいて行ってしまった。
え
……?
明日から、宿儺先生専属の補助監督になるの?私が???
成り手の少ない術師で、先生で、しかも特級
…。
ある程度のワガママは受け入れられるはずなので、宿儺先生が私を指定すれば、要望は受け入れられてしまうだろう。ただでさえ、今の私は任務に回されずに暇
…いやっ、手が空いている状態なので、確実に。
明日からの生活に不安をおぼえ、しばらくバケツを持ったまま呆然と立ち尽くしたのであった
……。
《続》
(全年齢)ラキスケ補助監督と宿センセイ#2(宿夢)
https://privatter.net/p/11506399
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