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華子
2023-10-24 22:05:44
1386文字
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1話完結(宿夢)
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(全年齢)お月見(一話完結)(宿夢)
生前様とお月見する話。
🌸
🌸
🌸
🌸
🌸
🌸
「───偶には、散歩もいいだろう」
宿儺の思い付きで、日が沈みきった少し肌寒く涼しい夜、二人で手を取り合って歩く。
屋敷から少し歩いた所にあるススキ林に到着すると、背が高いススキ林のけもの道を並んで歩く。
風に撫でられ、そよそよと揺れ擦れるススキの音と、虫の音しか聞こえない静けさが、なんとも心地がよい。
「
…
さて、ここらで月見でもするか?」
ふと歩みを止めて、宿儺様が私を見下ろす。
その言葉に空を仰ぐと、
🌸
の背丈からは周囲のススキの方が大きいので、ススキの穂がまるで月を撫でているかのような景色が見えた。
「
…
そうか。お前からはこのススキ林も見渡せぬな。よし、此方へ来い。」
ひょいと身体を軽々と持ち上げられたと思ったらば、担がれるように宿儺様の肩に乗せられる。
🌸
は急な浮遊感に身体が強ばり、宿儺様の頭へと思わずしがみついた
…
のも束の間。
飛び込んできたその光景に、感嘆の息を小さくもらした。
「
……
綺麗
…
。」
宿儺の肩に乗せられた事により、普段は見られない高さでの視界が広がり、よくよく見渡せるようになる。
宿儺達の周囲を取り囲んで、優しい月光に照らされ、黄金色に輝くススキの穂が、風に揺れて海原ように波打っていた。
暫し夢中でその光景を眺めていたが、
──ッくしゅん、
肌寒いと、立ち上がった鳥肌に
🌸
が気付いた頃には、くしゃみがひとつ出てしまう。
「なんだ?寒いのか。」
宿儺は
🌸
を肩からおろすと、その場で胡座をかいて座り、その膝の中にすっぽりと閉じ込めるように座らせて抱き込んだ。
「あの、私は大丈
…
」
「いいから、お前は黙って俺で暖をとれ。」
一度こうなってしまうと、何を言ってもほぼ聞き入れてくれなくなる経験則から、
🌸
は早々に諦めて宿儺の胡座の中で大人しくし、再び風に揺らめくススキと月を見上げた。
布越しにじんわりと伝わる、互いの体温が心地よい。
安心しきった私は宿儺様に身体を預け、静かに髪を撫でられながら月を見ていたが、今日はやけに視線を感じる。
…
その視線に気付いてはいたが、なんだか、気恥しくて目を合わす事が出来ずに、私はじっと月を眺めていた。
次第に触れる宿儺様の手が増え、触れる箇所も移動してくるので、思わず制止の声をあげる。
「あのっ、そこは
…
」
「月明かりの下でというのも、それもまた一興だな。」
それはなりません、と抗議の声をあげようとして、慌てて宿儺様の顔を見たが、その瞳の奥にはもう消えそうにない、青い炎が見えてしまっていた。
「誰か
…
来ちゃう
…
」
「こんな処に、誰かが来るとでも?」
確かに
…
屋敷の近くには昼間でも誰も寄り付かない。
これは正直に訴えていくしか手段はあるまい。
「
…
今日の月明かりは、高灯台よりもよく見えてしまうので、私は恥ずかしいです。」
「そうか。」
🌸
の言葉に宿儺はニィと意地悪く笑い、流れるように自分の身に着けていた物を地面へと敷き、軽々と彼女を組み敷いた。
大きな体躯に身体がすっぽりと包まれて、彼女に月明かりも届かなくなる。
「ケヒッ
…
安心しろ。俺は端から、月にも見せてはやらぬつもりだ。」
月の明かりを背負った宿儺は、その存在通り不敵に口の端を上げて笑ってみせたのだった。
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