ortensia
2026-01-11 12:24:06
1576文字
Public カトマク
 

カトマク(?)

マキナちゃんのバイクショップにて。+チハルちゃん。

 マックスが店の奥で騒いでいた。
「ねーマスター、このバイク乗らしてよー!」
「いやウチそーいう試乗とかやってないんでー!

「まじー?」
 といっても客はマックスとカートだけで、マスターと呼ばれた店主はマキナだし、マックスとカートは明らかに冷やかしだし、マキナは冷やかし客が来て金銭的には困らない。
 店に入って全体を見たままそこから動かないカートと、店に入った途端全体を動き回るマックスに対し、店主のマキナは一応客対応として店の出入り口まで来ていた。
「そっちのオキャクサンは見て回らなくて良いんすか。」
「俺らが二人も店ん中うろついてたら狭いっしょ。」
「あー。」
「ねえカート!カートもこっち来てよー!」
「今行く。」
「いや掌返し。」
 カートを呼ぶマックスの声に躊躇わず従う客に、マキナも着いて行く。マックスがいるのはここでマキナもイチオシのバイクの前だ。
「ねーこれかっこよくない?ちょっとカート並んで立ってみてよ。」
「なに?こう?」
「そうそ!わーかっこいー!かっこいいカートくんが一緒だと相乗効果が凄いですねー。いっぱい記録とっちゃお、あ、このお店写真録画大丈夫だった?」
「いーけど。」
「わーい。」
「いや恥ずいんだけど。」
 カートとバイクを並べて記録をとりながら、そのデータの確認がてら、あこの車種へーなどと一人納得しているマックスの様子に、カートがあてがわれたバイクから身を離して、すごすごマキナの隣に戻って来る。
「二人はさ、自分で店とかやろうとは思わないの?」
「あー。」
 盛り上がっている様子のマックスを見ていたマキナが、カートに視線を移して問う。それに対し同じくマックスを見ていたカートが、一度マキナを見遣って、またマックスに視線を戻して、気怠げな声を発する。マキナが問いを続ける。
「え何なんか聞いちゃまずいことに抵触した?」
「いやそういうんじゃなくて。自分らでやること増えんじゃんそれって。」
 それが怠い、とカートは言った。
「発注書とか?」
 マキナが思い当たる節を問うと、一通り満足したらしいマックスも寄って来た。
「そういうのもあるけど……弁護士とか?」
 おどけたように言うマックスに、マキナはモニターの表情を引き攣らせる。
「そういうのが出来ないとかってより、マックスなら出来るだろうけど、そしたらマックスがバカ忙しくなるし、やっぱ専門家に任せたほうが良い。」
 俺も出来ることやるけど、それだと余計に、と言うカートが続ける。
「マックスと俺が組んでどうこうどころじゃなくなる。」
 カートは言う。自分達が組んで仕事をするために、それ以外の仕事をしない。
「だから俺らは俺らの、下っ端の仕事をやる。」
 どうやらカートとマックスは、下っ端であることが結局は自分達に都合が良いらしい。そのためにその立ち位置にいるのだと。不純だなとマキナは漠然と思った。けれど不純であるべきだとも思った。
「えー!カートは俺と組みたくて仕事してくれてるのー!それって不純ー!」
 しかしマックスは冗談なのか本気なのか分からないがそう口にした。
「そお?」
「仕事したくて俺と組むもんじゃない?」
……一緒じゃね?」
「一緒じゃないじゃん。」
「でも嬉しいっしょ?」
 どっちも本気で言っているのかどうか分からない応酬の末、マックスがカートと問い掛けに黙った。それを見て満足そうに頷くカートをマキナは不気味に思った。
「あのー……。」
「黙って。今マックスが照れてるのを見るのに忙しいから。」
「ええー……。」
 あーしの店でイチャつかんでもらえますか。店主マキナの言葉は客に届かなかった。
「マキナーいるんでしょー?チハル遊びに来たんだけど……うわ何この不気味な空気っ!」
「黙って。今マックスが……。」


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。