ぐるさん
2026-01-10 22:52:43
1082文字
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1.10 ふみりかワンドロ【電車】

ふみりかワンドロライ(@ fmrk_1draw)さんの2026.1.10 お題をお借りしました。

 ガタンゴトン、ガタンゴトン。
 
 俺と理解の二人だけを乗せた電車が、地面に敷かれたレールに沿って駅に向かって走っている。

 キッカケは単純だった。SNSで見つけたカフェが、何となく理解が好きそうな雰囲気だったから誘った。

 場所はやや遠く、いくつもの路線——所謂ローカル路線も含めてを乗り継ぐ必要はあったが、朝イチで出発すれば昼前には着くし、少し散歩なんかしてまた帰りの電車に乗ればギリギリ理解の門限には間に合う、そういう算段だった。

 でも、そういう時に限って上手くはいかない。

 やっと辿り着いたカフェは臨時休業で、周囲を散策してやっと見つけた別のカフェは大混雑で長時間待たされ、門限に間に合わないからと慌てて電車に飛び乗れば逆方向で。

 上りと下りの二つしか無いホームで間違うとかウケるな、とか言いながら隣の駅で降りて時刻表を見れば次の電車は一時間後な訳で。

 結局ハウスの皆に遅くなる旨の連絡を入れて、寒空の中二人で電車を待ちわび、ようやっとの気持ちで乗り込んだ。

 電車に乗ってしばらくは理解と話をしていたが、その内返事が聞こえなくなり、代わりに左肩に白い頭が寄りかかっているのに気がついたのは何駅通り過ぎた頃だろうか。

 寒空の中待たせてしまったのが思いの外体力を奪ったのか、はたまた二人きりの車内で気が緩んだのか。

 スマホで時間を確認すれば、門限はとっくに過ぎ去り、理解の就寝時間に近づいている。

 向かう時には、とっくの昔に稲刈りを終え、春を待つばかりの田んぼが見えていた窓の外も文字通りの真っ暗闇で、時折遠くの道路を車が流れ星のように走って行く。

 そんな景色をぼんやり眺めながら耳を澄ますと、すぅすぅと聞こえてくる小さな寝息にじわじわと愛情が込み上げる。

 何だかんだ言っても俺、理解の事が好きだな。そう思うと同時に、ほんの少し物足りなさを感じる。

 そう感じる理由は、理解の事を「好き」なんて言葉じゃもう言い表せないと気がつくのに時間はかからなかった。

 でも、そうなら何と言えば良いのだろうか?

 愛おしい、可愛い、大好き、愛してる——きっと、どの言葉も正解で、どの言葉も口に出すのはまだ恥ずかしい。

「んん……

 不意に、白い頭がもぞりと動く。そのまま起きるのかと思い見ていたが、一瞬薄く開いた瞼はまた閉じ、俺の腕を抱いてそのまま眠りへと戻ってしまった。

 寂しいような、気恥ずかしような心地を抱いた俺を、電車は淡々と目的地へと運んでいく。
 
 ガタンゴトン、ガタンゴトン。