三毛田
2026-01-10 16:22:22
1076文字
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33 む. 無欲の勝利

33日目
勝負は無欲の方が強いという

「わ~ん!」
「ウチの勝ち!」
「お前たちは、また……
 俺の腕に抱き着く三月を剥がそうとするけれど、いつになく強情だ。
「無欲の勝利ってやつ? 穹は、煩悩? とか、疚しい気持ちをもっと鎮めないと」
「それで、何を賭けていたんだ」
「丹恒とのデート! デートの内容はもう決まってるから、丹恒はついてくるだけでいいよ」
「俺も一緒に行く!!」
「だーめ。勝ったのはウチ!」
 仕方ない。今日は三月に付き合うとしよう。
「今からか?」
「うん! お願い」
「そうだな。今からなら時間がある」
「やった~!」
 どうしてか、腕から離れない三月をくっつけたまま、二人で出かける。
「これと、これと、これ!」
 向かった先で、彼女が購入したものを俺が持つ。
「本当はお前たち二人で行くんじゃなかったのか?」
「ううん。元々丹恒と一緒に行くつもりだったんだ。でも、どっちが一緒に行くかで揉めて、じゃあ、トランプで決めようって」
 これ、丹恒の分!
 と、惣菜クレープを差し出され。受け取って口をつける。
 三月は、生クリームたっぷりの苺とチョコレートのクレープを、口へと持っていき。
「ん~! 美味しい」
「穹に何か買っていってやろう」
「もう! 丹恒は穹に甘いんだから」
 そう言われても、つい彼を甘やかしてしまいたくなるのだ。
「いいよ。じゃあ、あそこのお店で皆にお土産買おう」
 クレープを食べきり、二人でお土産を吟味。
「ただいま~! はい、皆にお土産」
 三月がお土産を差し出すが、穹はぶすっとしたまま。
「ただいま」
……おかえり。俺を置いていって、デートは楽しかったか?」
「悪くはなかった」
「ふぇ~ん」
 胸に向かって飛びついてきたので、抱きしめてから頭を撫でてやる。
「夕飯後にお前の部屋に行こうと思ったが、止めておくか」
「来てください!!」
 俺の言葉に目を輝かせ、顔を高速で左右に振って。
「なのとデートしてきたのは許す」
「なんでアンタが上から目線なの」
 俺たちのやり取りを見ていた三月は、呆れたように穹を見つめ。
「本当は俺がデートするつもりだったんだもん!」
「ウチの無欲の勝利です~!」
「ムキー!」
 悔しそうな表情で歯ぎしりするので、頭を撫でてから背中をポンポン撫でてやる。
「これ以上邪魔すると、後で大変なことになりそうだからウチは部屋に戻るね~」
 自分で喧嘩を吹っかけてきたのに、ちょっと慌てたように逃げていき。
「丹恒~」
「今すぐお前の部屋に行くか?」
「来て!」
 元気に返事をしてから、俺の手を引く。