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ortensia
2026-01-09 23:32:42
3139文字
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傭リ
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現パロドルパロ傭リ。リによる傭へのしゅうちぷれいっぽい。(受けによる)言葉責め?(笑)
傭がアイドルで(それと比べたら)リは一応一般人。
ジャックがぱちりと目を覚ましたのは、そういう音が実際に聞こえたからだ。
「あれ。あ、寝てた?」
「ええ。そのようです。」
ジャックが目を擦りながら、寝そべっていたソファからその長身を起こすと、擦るなとナワーブが手を添えて咎めて来る。それにジャックがふふと笑う。
「流石はアイドル様。外見のケアは専門家ですね。」
そんなジャックにナワーブは困った顔をして苦笑いをした。ナワーブはジャックが困らないようにと気遣ったつもりだったが、嫌味なところのある相手に正面から正直に物申すことはしなかった。
「起こして悪かった。」
「いいえ。どうせ、こんなところで寝ていたわたしは、悪い子ですから。」
「いや。寝顔、見たかったなって。」
代わりにそう言えば、ジャックの嫌味も一旦は止まる。
「わたしよりもアイドルの寝顔の方が価値があるでしょう。」
今度撮ってあげましょうか、と言うのに、ナワーブは首を横に振る。
「写真集とかのあれはやらせだぞ。」
「でしょうね。全然違いますもん。」
ナワーブはジャックのその言いように、色々言いたいことはあったが、全部飲み込んで、肩を竦めるに終わった。
ナワーブとジャックは、一緒に住んでいる。アイドルのナワーブと一緒に住んでいる一般人が他人の女性なら、週刊誌などの記者が黙っていないだろうが、ジャックは他人の男性だ。そこを利用していると言われても反論出来ないが、兎に角ベッドは同じだった。帰った家にジャックがいることは、ナワーブにとって変え難い幸福だった。だから世間の目と誤解を良いように使うことも辞さない。
そしてジャックはそれをそもそも気にしない。ナワーブがアイドルであることは百も承知だし、同時にあまり興味がない。アイドルが自分に関心を持っているということよりも、ナワーブが自分に好意を抱いているということを不思議がっている。不思議がられてもなんだが。兎も角、ジャックは、ナワーブがアイドルとして恋人はいないと公式ではそう言っていたとしても、イメージを描くのも仕事のうちでしょうと彼独特の理解があると言って良い。単に嘘に興味がないと言っても良い。
「というかテレビ付けっぱ?」
「あー。ですね。」
二人して目を向ける視線の先の画面には、録画再生が終わってメニュー画面で止まっている。それにナワーブは馴染みがあった。
「え。おれのライブ映像見てくれてんの?」
「ああ。ええ。ぼうっと眺めるのに良いんですよ。」
アイドルのライブ映像はぼうっと眺めても特にリラクゼーション効果はないと思うが、逆に心を騒がせるものでは、とナワーブは思うのだが、ジャックはアイドルとかそういうものに対して、こんな感じなので。またも肩を竦めるには、もうその気も起きなかったので、内心でそうした。
けれど自分を見ていてくれたのは嬉しい。例えそれを睡眠導入にされていても。ジャックの役に立てたのなら。ファンによっては何をするにも好きなアイドルの映像を流して、作業用BGMにするという人もいるみたいだし。それだけ日常に触れているということだろう。ジャックの場合、実際の生身のナワーブが日常にいることになるはずなのだが。そこのところもあまり興味はなさそうである。
「おまえこれ、いっぱい練習したんでしょうねえ。」
「えっ?あ、うん。」
いや実は興味を持ってくれてるのだろうか。ナワーブは少し期待した。
「入れ替わって場所移動するところとかが、ちょっと難しくて。」
「へえ。どこ?」
「あ。えっと。」
ナワーブはその場で軽くダンスのシーンを再現した。ジャックはそれをなんともなしに見ていた。少なくともつまらなさそうではない。ナワーブはほっとした。
「へえ。次はターンするんでしたっけ?」
「ああ。こうして、こうだな。」
そして意外にもジャックは、その会話を続けた。寧ろ、少し面白そうにも見える。ナワーブは、自分に関心を向けているジャックに、嬉しくてそのまま軽くダンスのステップを続けた。
すると突然、ジャックは笑い出した。
「おまえ、わたしの前でそんな簡単に踊ってくれるんですね!」
アイドルなのに、と続くジャックの笑い声に、ナワーブは止まって目を丸くした。
「一緒に歌も歌ってみせてよ。」
笑いながらジャックがそう言う。ナワーブは、ジャックがアイドルに然程興味がないことを知っているので、そのさまは冷やかし客のようだった。
けれどそうではない。ナワーブは相手がジャックだから、自分がアイドルでそれを外では生業にして稼いでいるというのに、簡単に差し出す。そしてそれをジャックも分かっている。例え冷やかしでも、相手がジャックなら、見てくれるだけで、ナワーブは金銭を受け取る以上の幸福を得る。
ただ、明らかに揶揄っている表情の相手に、その要望に応えるには、ナワーブにも羞恥心はある。普段誠意を持ってアイドルをやっているのに、それを自らおもちゃに甘んじるような行いであることも、自覚があった。
ナワーブは本物のアイドルとは思えないようなぎこちなさで、ジャックの前で歌って踊った。それをジャックは暇潰しに見ているかのような態度で眺めていた。しかも、そこもっと足上げた方が良いんじゃないですか、など駄目出しもして来る始末だ。
「良いですね。また眠くなって来ました。」
そう言われてナワーブの動きが一層ぎこちなくなる。
「ちゃんとやったら、足踏みとか近所迷惑だから
……
。」
「ここは芸能人御用達のマンションでしょう?多少は頑丈なのでは?おまえがわたしをここに住まわせた時に、自分でそう言っていたのでは?」
ジャックがナワーブと一緒にここに住んでいるのは、ナワーブの独占欲によるもののようなものなので、ナワーブは例え、プロ意識を持って外では仕事にしていることをおもちゃにされても、反抗する気はなかった。寧ろジャックのおもちゃになって、彼がずっと一緒にいてくれるならば、やすいものだとさえ。
そんなふうに思っている者がアイドルだなんて、ファンからは批判を浴びるだろう。しかし結局、仕事とは金を稼ぐためのものであり、その金をどう使うかは、稼いだ本人の自由なのだ。今のナワーブは、アイドルである自分に自分で金を払って、その自分から受け取った金をジャックに渡しているようなものだった。そしてナワーブの収入源は、そのファン達である。そしてナワーブはジャックのファンのようなものだが、ジャックはナワーブのファンには絶対にならない。
「恥ずかしいんですか?本物のアイドルなのに?わたしの前だと一般人みたいですよ?」
ジャックが笑いながら言う通り、ナワーブは彼の前だと、そうだった。何せジャックがアイドルに興味がないので。
そこで、高みの見物よろしく優雅に手拍子までしていたジャックが、ぎこちない動きのナワーブのそばに、欠伸混じりに寄って来た。
「仕方ないですね。一緒にやってあげます。」
それは助け舟のような言葉だった。ナワーブはプロのアイドルなのに、ジャックの言葉は身の程知らずのちゃんちゃら可笑しいものなのに、ナワーブその提案に喜んだ。歌詞は違うしダンスも間違ってるのに、ナワーブはジャックが正しいとさえ思った。
それでも、ナワーブはアイドルを辞めない。ジャックが自分のファンになってくれなくても、気紛れで歌えや踊れと言われても、歌って踊っても睡眠導入剤にしかならなくても、一緒にやっても寝る前の軽い運動扱いでも、おもちゃにされても、全部甘んじて受け入れる。寧ろ喜んで歓迎する。
ナワーブにとって、ジャックの寝顔を見れる立場として、それは充分だったから。
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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。
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