三毛田
2026-01-09 22:10:06
1077文字
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32 み. 見つめる視線の先

32日目
いつもお前だけがいる

 ふと視線を向けた先。お前の姿を見つけて、少し嬉しくなったりする。
「丹恒、何見てるんだよ~」
 俺が見えていることに気づいて、ニヤニヤしながら近づいてきて。
「ふがっ」
 なんだかちょっとイラっとして、鼻をつまむとふがふがと唸り。
「ふっ」
 それがおかしくて、愛らしくて。思わず声が出た。
「丹恒、ご機嫌だな」
 手を離すと、今度はニコニコと嬉しそうに。
「お前が面白いからだな」
「さっきの?」
「ああ」
「まあ、丹恒が嬉しそうなら変な声を出したかいはあったかも」
 不満などが彼の口から出るかと思ったが、そうでもなく。
「もっと俺を見つめて。ううん。俺だけを見つめて。お願い」
「そんな言い方をされたら、よそ見なんかできないだろう」
「よそ見したら、俺、我慢できなくなっちゃうかも」
「っ」
 若干の仄暗さ。
 でも、そんな表情をする穹も悪くない。
「あ。換金とかそういう物騒な事じゃなくて、こっち」
 俺の腰を抱き寄せ、それから尻を鷲掴む。
 なんだ、そっちか。と思うと同時に、それも悪くないと。
「お前の手で蕩けさせられるのであれば、悪くない」
「も~! 丹恒のえっち」
「先にそういう話を振ってきたのは、お前だろう」
「そうかもだけど~。痛い!」
 俺の尻を掴んでいた手が動いたので、手の甲の皮をつまむと悲鳴を上げ。
 パッと手を離して、俺がつまんだ部分をさする。
 俺が見つめる視線の先には、お前しかいない。
 他には、三月、姫子さん、えると三、パム。列車のみんなだけ。
「よそ見しないで」
「お前のことを考えていたと言っても、か?」
「じゃあ、許す!」
 懐疑敵だった表情は一転。笑顔になり、俺に飛びついてくる。
 そんな彼を飲尻に手を添えて支え、階段を上って。
 他の人がいないタイミングでよかった。シャラップの口はどうにかして塞がないといけないが、三月がいたらもっと騒いでいただろう。
『ウチをのけ者にして、イチャイチャしな~い!』
 などと、たまに理解に苦しむことを口にするので、反応に困る。
 ああいう時、
『俺と丹恒で、なのを挟んでほっぺにチューすれば、大人しくなるから』
 と穹が言っていたが、本当にそれでいいのか。
 もし騒がれたら、やってみるか。そんな軽い気持ち。
「ベッドがいいか、ソファーにするか選んでくれ」
「ソファー! 膝枕してもらいたいな~。って」
「わかった」
 浴室横のソファーまで行き、そっと下ろす。
「ん~! 丹恒のこの太腿がたまらんな……
「撫でるなら、お前を落とすが」
「今すぐやめます!」