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リレン
3239文字
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フリンズと冒険者夢主
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お酒を作ってくれるフリンズさんの話
※ファルカさんが居ます
「おや、いらっしゃいませ」
「
………………
へ?」
夕刻、お腹が減ったのでいつも通りフラッグシップへ顔を出すと、ファルカさんがカウンターに一人で座っていた。珍しいなぁ、とカウンター席に近寄ると
……
カウンター内にフリンズが居た。いつもの装飾やケープコートを外しているが、他はいつもの格好に見える、けど
……
。
「
…………
どゆこと?」
「はははっお嬢さん、そりゃそうなるよなぁ!」
カウンターテーブルをビール片手にバシバシ叩きながら大笑いするファルカさんと、ため息を吐くフリンズを交互に見比べる。なんだこれ?
「ファルカさん、机をそんな風に叩くのはやめて下さい。あなたの力では壊れそうです」
「おっと、そりゃすまん」
怒られが発生して素直に聞くファルカさんも面白かったんだけど、いややっぱり一番おかしいのはフリンズでしょ。
「フリンズ、なんでカウンター内にいるの?」
「今日からフラッグシップの新人バーテンダーになりました。お嬢さん、ご注文をどうぞ?」
「はぇ?」
「はっはっは!ノリが良過ぎるだろっ」
またファルカさんが机をバシバシ叩くので、フリンズがキッ睨んで「ファルカさん?」と怒ってて「す、すまん
…
」と謝るファルカさんが見れた。なんだこれ、コントかな?
「つまり、今日はフラッグシップが空いてるからって、コイントスで負けたフリンズが臨時バーテンダーやることになった
……
ってこと?」
「そうなりますね」
「負けてたら俺がカウンターにいた可能性もあったんだがなぁ」
「カウンター内が狭くなってデミアンさんが困りそう」
――
視界の隅にいたデミアンさんが、一瞬だけ顔を歪めて笑いそうになってた。私は見逃しませんでしたよ!
「ですから、せっかくなので何かご注文頂けますか?」
「うーん、そうだなぁ
……
。じゃあ、バーテンダーさんの美味しいオススメご飯と、オススメのカクテル下さい!」
「畏まりました」
優雅に一礼する彼を見て、「「おぉ
…
」」と私とファルカさんは声を揃えてしまった。
「料理は僕担当ではありませんので、厨房の方にお願いしました。貴女の好きな、ベリーとお肉のソテーですよ」
「やったー!お腹減ってたんだよね」
「あとは、僕が選んだドリンクはこちらです」
…………
おや、ジュースが来たね?
「おいおいフリンズ、そりゃないんじゃねーの?これが美味いのは確かなんだが
……
」
「貴女はお酒飲むとご飯が食べられないでしょう?ですから、一杯目にはこちらのアップルサイダーを選びました」
「それはそう
……
なんだけどさぁ?せっかくフリンズがバーテンダーなのに!」
文句を言いつつも出されたアップルサイダーを一口飲む。あ、めっちゃ美味しい。
「
――
お嬢さん、ニコニコしてんじゃん
……
」
「えへ、美味しいからね、つい」
ふふん、と満足そうに笑うフリンズが「それが正解の品でしょう?」とか言ってる。
***
ご飯も食べ終わったので、追加注文してみた。さてさて、次は何が来るかなぁ。
「バーテンダーさん!次のオススメは?」
「俺も!泡じゃないやつにしてくれ」
カウンター内のフリンズが「ご注文承りました」と言い、軽い会釈をして店内奥へ向かう。すると、ファルカさんが話しかけてきてくれた。
「なぁ、お嬢さん」
「なぁに?ファルカさん」
「フリンズのバーテンダー姿、正直どうよ?」
「めっちゃ良いよね!ファルカさん、写真機持ってない!?」
「即答かよ!
……
持ってねぇな
……
、持ち歩かねぇもんな。旅人が居たら持ってそうだけどよ」
残念!と思いつつ私も持ち歩いてないからねぇ。今度から旅人さんの真似して手荷物に入れておこうかな。
「お待たせしました、どうぞ」
「わー!なにこれ綺麗!」
差し出されたのはググプラムのジュース
……
なのだが、グラスに小さな蒼い炎が乗っている。
「なにこれ、魔法?元素か何か?」
「ふふ、そうとも言えるかもしれませんね。吹き消してからお飲みくださいね」
「フリンズ、お前
……
」
「ファルカさんはお静かに。ほら、貴方にはこちらを」
フリンズが人差し指を口元にあてつつ、ファルカさんに差し出したのは、見たことないお酒だった。って、こっちもグラスに炎が?!
「お前なぁ
…
何て酒を提供してんだよ
……
」
「こちらは僕のキープボトルからですよ、特別です」
ニコ、と笑うフリンズに冷や汗をかくファルカさん。めちゃくちゃ強いお酒なんだって。
一緒に出してもらったカットフルーツと共に、美味しいジュースを楽しめた。なお、ファルカさんは少しぐったりしていた。
***
「はい!そろそろ私もお酒飲みたいんですけど!」
「
…………
畏まりました」
――
めっちゃ渋々承諾してるじゃん。フリンズはまた店内奥へと向かう。承諾してくれたからには、何が来るか楽しみにしておこう。ちなみにファルカさんはさっきと同じお酒三杯目を注がれて、カウンターに突っ伏している。それでもグラスから手を離さないのは凄い執念だね。
「はい、こちらをどうぞ。アルコールも少し加えていますよ」
「か、可愛い
……
」
差し出されたグラスはベリーの小径だった。なんだけど、普段見るソレとは違っていて。
「これは、飴細工?」
「えぇ。特別に、ですよ」
二種類のベリーの間に、ランプ型の飴細工が鎮座していた。すごい
…
綺麗。
「この飴細工も、フリンズが作ったの?」
「えぇそうですよ。お気に召しましたか」
「うん、とっても!」
思わず溢れる笑顔はそのままにドリンクを一口飲んで、飴細工やベリーを食べていると、カウンター内のフリンズも微笑んでいた。
「なぁに?面白いことでもあった?」
「えぇとても。
――
僕が提供したものを美味しそうに食べて飲んでくれるのが、こんなに楽しいとは
……
初めての感覚ですね」
「あーちょっと分かる。頑張って作った手料理食べてもらうとか、嬉しいもんね」
「それは実に良いですね。では、貴女の手料理もお待ちしてますね」
そんなことを言っているフリンズの声がやけに近く聞こえて、目線を少し上げるとフリンズの顔が近くて、ぇえ?
「
……
そろそろですかね」
「なに、が
……
あれ?」
そっとカウンター内から差し出されたフリンズの手が、私の頬を撫でた
……
かと思ったら、視界がクラクラした。カウンターテーブルに倒れ込みそうになったところを、彼の手が支えてくれる。
「
……
お酒にこれだけ弱いのが分かっているのに、なぜ飲みたいと仰ったのです?」
「えへへ、バーテンダーしてるフリンズが
……
格好良かったから
……
だよ」
「おやおや、それはまた
……
随分と情熱的ですねぇ」
彼の冷たい手のひらが心地よくて、自然と擦り寄りながら、そのまま目を閉じた。
***
「それでは、彼女を送ってきますね。デミアンさん、カウンター業務楽しかったです、ご協力ありがとうございます」
「えぇこちらこそ。次回は、他のお客様のお酒も作りますか?」
「ふふ、それは遠慮しておきます」
「
……
あと、カウンターのファルカさんは、どうしましょうか」
「そうですね
……
、あとで僕が回収に伺いますので、そのままでどうぞ。潰したのは僕なので、ね」
ふわふわと自分の体が浮くような感覚がある。フリンズとデミアンさんの会話は、意識の遠くから聞こえてくるようで、ぼんやりしている。無意識に何かを掴むと、カチャっと音がした。
「おや、起こしてしまいましたか?
――
いえ、まだ寝てますね。寝てて良いですよ」
その声がとても優しくて、そうか寝ていいのか
……
と再び目を閉じた。
次に目が覚めた時は、自分の家の天井が見えた。しっかりベッドの上で寝ていたみたい。なぜかフリンズのコートを掴んで寝ていたらしいこと以外は、いつも通りだった。
…………
それは、いつも通りでは
…
ないね?
『これは置き土産、ですよ』
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