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紫呉葛
2025-05-03 23:56:04
1168文字
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【オキラス】馬酔木は一輪で十分だ
オキーフがラスティに機体を貸してくれと言うだけの小話。
「スティールヘイズを貸せ」
オキーフがラスティの顔を見るなり急な要求をする。
「スティールヘイズを?」
先ほどまで笑顔だったラスティの目が警戒の色を示す。
「検証したいことがある」
オキーフは既にパイロットスーツを来ている。拒否させるつもりは無いらしい。
「私がやろうか?」
幾らオキーフ相手でも、そう易々とスティールヘイズには触らせたくはない。
ちょうど時間も空いているからと提案する。
「いや、『お前以外』がやらなければ意味が無い」
「何があったんだ?」
オキーフが端末を取り出し画像を出す。
極秘調査ではあるが、当事者に隠した所で直ぐにバレる。
特に、このラスティという男は鼻が利く。もう少し時間があればこの情報も掴んだだろう。
ならばさっさと提示して協力させた方が手っ取り早い。ついでに牽制にもなる。
「襲撃があった。なんでも、NACHTREIHER一式という機体でな」
画像の中の見えにくい部分を解析すれば、ご丁寧にブースターはALULA、武器はスティールヘイズと同じものときた。
「なるほど、私が疑われているか」
納得と言った返事をするが、画像を見つめる目つきは険しい。
「シミュレーターでの再現、もしくは戦闘ログではダメなのか?」
ラスティは尚も回避を選ぼうとする。
「実証を所望だそうだ」
オキーフは引き下がらない。
上官として権限を使えばラスティも渋々受け入れるだろう。
だが、その必要は無い。
「精巧な偽物がいる、その証明をする為にな」
意外な答えにラスティが一瞬瞳孔を引き絞る。
「私の、偽物がいるとでも?」
フェイク映像ならまだしも、見せられた画像は機体のログによるものだ。簡単に作れやしない。
「比較的揃えやすい構成の機体に目立ちやすい色男ならば、偽物をこさえるのも容易いだろう」
アリーナに登録されているデータから機体での立ち回りや癖の情報も得られる。
ある程度の誤魔化しは出来る。
「それに」
無表情のまま、さも当たり前のように言う。
「『俺/バレンフラワー』を見ても、寄って来なかった」
「まるで、私が貴方に懐く犬みたいな言い草だな」
「違うのか?」
ラスティがオキーフに犬歯を見せつけるような不敵な笑みを向ける。
「犬ではなく狼と言ってくれ」
オキーフが呆れて黙り込む。
ラスティはからからと声を上げて笑った。
「オキーフ」
ラスティが握りこぶしを突き出す。
「貴方になら任せられる」
手を緩めてキーを見せる。
オキーフは静かにそれを受け取る。
「本当は、乗せたくなかった」
ラスティが真剣な眼差しをオキーフに向ける。
「座席が壊れているんだ」
実際の機体での実証により、偽物排除にまで至った。
スティールヘイズは第三隊長によって早急のパーツ取り寄せによる座席修理が施された。
END
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