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紫呉葛
2024-10-31 00:25:24
1775文字
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【スティラス】今日という日に誓って【ネタバレ含む】
【ネタバレ含む】。何でも許せる人向け。機体自我有り。前提:解放√ラス生存。ハロウィンネタ
企業を斥け、勝ち取った自由にルビコニアン達の歓喜の熱もまだ冷めきらない日々。
表舞台から身を引いたが、解放を担った一人としてまだまだ星の為に戦い続けるラスティ。
スティールヘイズ・オルトゥスと共に忙しく飛び回る。
共通の敵が居なくなった、故に、ルビコニアン同士のいざこざが増えだした。
企業や封鎖機構とて、確かにこの星からは居なくなったが、星外にはまだ存在している。いつまた侵略しに来るかわからない。
見つかったコーラルは、資源使用どころか使う使わないで揉めだした。結局争いの火種になりつつある。
自由は手に入れた。だが、物資不足という根本的な問題は何一つ解決していない。
奔走する。解決の為に、もう奪われ掠め取られない星にする為に。
時々、一人きりになるとラスティは俯く。
これが、求めていたものなのか、と。
やり方は違えど、同じ志しで戦った筈の者達は、同じ星の者達同士でいがみ合っていて。
この星の自由には、程遠すぎて。
「
……
疲れたな」
ラスティは乗っていたオルトゥスを森の中に停めた。
オルトゥスの起動をそのままに、座席に身を預ける。
外は夜もだいぶ深まっていた。
少しの間だけ、目を瞑る。
『V.IV ラスティ』として振舞っていた時も、こうして機体の中で休んでいた。
コックピット内が一番落ち着いた。
過去に浸り気が滅入りそうになってきて、目を開けた。
そろそろ戻ろうかとラスティがモニターに視線を向ける。
「ん?機体反応?」
ふっと湧いて出たかのように、いつの間にか表示されていた。警告も反応しなかった。
識別名も機体名も不明、動くことなくそこに居る。
オルトゥスはその機体反応のある方に標準を合わせているが、視界には何も映っていない。
明かりを消しているだけにしては、真っ暗で何も見えなくて。
「
…
違う。暗いんじゃない
…
」
それは真っ黒な機体の影。輪郭がぼやけて形が曖昧な大きな大きな影。
その影の上の方に、碧い光が見つめるように輝いている。
「あれは
…
?」
その影は踵を返し、森の奥へ駆けて行く。
ラスティは思わず追いかける。
影は速かった。オルトゥスでもついて行くのでやっとな程。
木々を時に避け、時になぎ倒す。
追いつけない。
正体のわからない影なのに、離れ難い気持ちが湧き上がる。
「待ってくれ!」
森を抜けた先、木が一瞬視界を隠し、戻った時には影は消えていた。
「
………
!」
見覚えのある場所にたどり着いていた。
アーキバスに所属していた時に訪れた、湖の水面が夜の光を煌々と揺らめかせて美しい、夜景が綺麗だと感じた湖畔。
それはかつての相棒と訪れた場所。
水に映る星空の中に、不自然な形の影と光。
何も無い位置を反射した水面に浮かぶ、それは数々の機体達。
その中に、オルトゥスの視界から標準が固定された機体が居た。
碧い光を携えた影が、水面の向こうからこちらを見ていた。
「君は
…
」
もう失った機体。大きく損傷し、二度と戦えなくなって。
星の為に、成す為に、共に空を駆けた機体。
「スティールヘイズ」
影がゆらりと形を変える。
NACHTREIHER 一式で組まれ、そして片腕を失いコアが抉れたネームド機体が姿を現した。
凛とした、碧い一線。
『この星を解放する為に、私は戦い続ける。君も共に居てくれないか?』
この場所で彼に言った事をラスティは覚えている。
そして、スティールヘイズも覚えていてくれたようだ。
「私を、連れてきてくれたんだな」
励ます為に。今日という日に。
胸の奥に温かさが灯る。
同じ色の空を見ていた時のように、澄んでいく。
「ありがとう、スティールヘイズ」
ラスティの目に薄ら涙が浮かぶ。
だが、零すことは決してしなかった。
スティールヘイズが2度碧い光を明滅させた。
オルトゥスもまた、同じように目の明かりを明滅させる。
スティールヘイズが背を向けた。
日付が、変わる。
水の下の機影達が一つまた一つゆらゆらと揺らめいて、消えていく。
ブーストの火が、カメラアイの輝きが、まるでランタンの進行のように。
共に空を掛けた火の赤も、その中に入り遠ざかって行く。
ラスティは、穏やかな笑みで見送る。
「あぁ、私はまだまだ高く飛ぶとも。君の名を継いだ彼と共に。解放されたこの星を守るために」
エンド
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