紫呉葛
2024-05-14 01:00:40
2613文字
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【ネタバレ・妄想含む】【スティヘ→ラス】未踏領域探査の戦闘離脱後のラスティとスティールヘイズのやり取りを考えた結果の小話

何でも許せる人向け!ネタバレを含みます!!妄想しかありません。スティヘがボロボロになるので物理的に壊れていく描写が嫌な人は撤退してください。スティヘには自我があり且つラス好き設定です。未踏領域探査の戦闘を離脱した直後を妄想したものをざっくり書いたものでしかありませぬ

ラスティ視点

未踏領域探査にて。
独立傭兵「レイブン」を名乗るAC乗りとの交戦の末、離脱を余儀なくされたラスティ。
戦友を相手に勝てなかったことは悔しいが、戦友を手にかけずに済んだことに安堵もした。
今はもう1つの問題に集中する。
右腕を失い、コアも大きく損傷したスティールヘイズには深刻なエラーが表示されている。
パーツを失っただけでなく、センサーに狂いが生じていた。
速度を出す為の形は、欠けたことにより風の流れを変えた。
ふらつく機体をラスティは技術と経験でギリギリ安定させている。
だが、食らわされた攻撃はどこまでも響き、『戦友』の危うさを思い知らせるかのように、破損が破損を招く。
損傷箇所の熱と亀裂が侵食する。
エラー表示が増える。警告音が鳴り響く。脆い部分が潰れだし、必要な情報が欠落していく。
―――スティールヘイズが壊れていく。
「頼む、持ち堪えてくれ!」
ラスティが機体に宥めの言葉を掛ける。
繋がる内に同志との連絡が付き、脱出する為の目標場所は確保した。
企業、封鎖機構、あるいは未知の敵の襲撃を警戒しながらスティールヘイズを駆けさせる。
「くっ!」
コックピットがガクンと大きく揺れる。
ブースターが破裂した。
姿勢が大きく傾き、岩肌に接触した装甲がガリガリと削られる。
ラスティは焦りと荒れる呼吸を抑えて操縦桿を強く引くが、機内に熱が篭もり、火花と電光が飛び始める。
目眩しとして使用したアサルトアーマーが仇となったか、想定以上に負荷をかけてしまったようだ。
金属の擦れる異音の悲鳴を上げている。
ラスティは、僅かに目を細める。
覚悟は決めたはずだろう。
もう助けられない。何度も聞き慣れ、この手で打ち鳴らした、機体の終わりの音がする。
確かにこのACは戦う為だけの道具。成すべき事の為に使用するだけの武器でしかない。
だが、愛着があった。重要な手足で、同じ空の濃さを知る、信頼出来る相棒だった。
……悪いな。君にしか出来ない、最後の大仕事なんだ」
フルスロットル。
残ったブースターに火を入れる。
強い風圧と軽い衝突と篭もり膨らむ熱が、背を伝い、脚を這い、損傷を拡げていく。
機能が次々失われていく中、応えるようにスティールヘイズは駆け抜けきった。

目的地点近くで着地するやいなや膝が崩れ落ちるスティールヘイズ。
辛うじて片腕が先に地面に着いて、コアを寸手でぶつけなかった。
酸素が薄くなっている中、機体と繋ぐケーブルを外すラスティ。
動けなくなったスティールヘイズから出ようとするがコックピットが開かない。
操作をしても反応が無い。こじ開けるには素手では無理だ。
暑さで呼吸も辛く、己の視界と感覚も揺れ始める。手が震える。
だが、
私は、此処で死ぬ訳にはいかないんだ」
息を吐き、もう一度、開口を試みる。
コックピットが開いた。
ラスティは機体の底を蹴り跳び、降りていく。
着陸時の膝を着くような姿勢が高さを極力減らす形になっていた。
地面に足を付けた。一呼吸吐いて、前方に駆け出した。
その直後、背後から爆発音と熱気が届く。
決して振り返らなかった。

「ありがとう、『相棒/スティールヘイズ』」


END




スティールヘイズ視点

シュナイダーによって作られて。
人間の手足の代わりになることを望まれた。
それが俺が作られた意味。

『戦友』と呼ばれる奴に撃たれて。
乗り手の手足の代わりでいることはもう望めない。
それが俺の辿る先。


鳥の名を持つ俺は、ただ大切な人の為に飛ぶ、それだけだ。


破損部位が拡大し落下していく。
内部で異常を検知したセンサーが鳴り響く。
平行も垂直も狂いだして、通常時のように真っ直ぐ飛べない。
それでも、搭乗者であるラスティが懸命に操縦して安定を保ってくれている。
彼の身に相当な負荷が掛かっていることを認識している。
耐えてくれ、ラスティ》
ベイルアウトを推奨した所だが、機体の声は人間には届かない。
それに、彼はその選択をしないだろう。彼は俺の『使い方』をよく理解している。


片側の背面に異常な高温を感知した。
熱で生じる装甲の歪み、ケーブルの断線、部品の融解。
ブースターの破裂の衝撃がコアを揺さぶる。
ジェネレーターにも異変が出る。
意識が途切れ途切れになる。
それでも、
ラスティを送リ届ヶる
彼に応えるだけだ。


やっと目的地点にたどり着けたのに。
コアを地面にぶつけないギリギリを保てたのに。
スティールヘイズはコックピットが開けない。
このままではラスティの鉄の棺桶になってしまう。
そんなことは御免だ。何のために此処まで飛んだ。
……俺の中死ナセruっもリはなi
プログラムを走らせ、もう一度、開口を試みる。



置いていかれたことを悲しいとは思わない
ただ彼が生きてくれればそれでいい

もっと一緒に飛びたかった
君が開いた夜明けを見たかった
もうそれも叶わない

だが

君が俺に言葉をかけてくれたことが
嬉しかったんだ


炎の赤に包まれながら、
碧色の光が、一人の背を見送った。














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END