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紫呉葛
2024-03-28 21:34:28
866文字
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【オキ6】フィーカの味の伝え方【ネタバレ含む】
オキ6。謎時空系。なんでも許せる人向け。フィーカの味を教えてくれという621にオキーフが出した答えに関する話。
お互いACから降りて休憩をしていた。
オキーフが片手に持った湯気の揺らめくフィーカを口に含む。
泥のようと評するそれを喉の奥へ押しやると、視線も合わせず声をかける。
「
…
言いたい事があるなら言え」
車椅子で隣に並ぶ621がジッと視線を向けてきていた。
光の無い瞳は、しかしそれでも興味があると瞳孔の動きが示している。
機械の無機質な音が人の言葉を紡ぐ。
『フィーカの味が知りたい』
この独立傭兵は[普通の人生]というものを強く望んでいる。
理由は本人も定かではないらしいが、ハンドラー・ウォルターに関するのは確かのようだ。
飼い主の事となると途端に食い付きが強くなる傾向があるのだと、関わり始めでオキーフは思い知った。
『教えて欲しい』
621は未だ人間としての機能を取り戻しきれていない。
金を貯め、漸く両目と両腕を取り戻した所だ。
故に、食事は管を刺す。内臓機能すらも乏しい。
オキーフは黙り込む。
「味覚はまだ戻ってないのだろう?」と棄却するのは容易い。
だが、オールマインドの計画から降りることを了承し協力関係となった、裏切りたくない飼い主すらも欺くことを選んだ相手を無下にするのは気が引ける。
手は離したくない。
『オキーフ?』
フィーカを一口飲んで、カップを片手に持ったまま、オキーフは身をかがめる。
もう片方の手を621の顎の下に。
上を向かせ、距離を詰める。
621は視界を埋める相手の色に、瞳孔を引き絞る。
オキーフが離れ、621は音を立てて息を吸う。
「
…
わかったか?」
射抜くような視線を向けるオキーフ。
『
…
息の詰まる、味だ』
真っ直ぐ見つめ返す621。
顎から手が離れ、自由を取り戻す。
『これが
…
貴方の知っている味
…
』
ゆっくり視線を下ろし、己の指で自分の唇をなぞっている。
瞼を下ろし、味を噛み締めるように、余韻に浸るように。
そんな621から、何も言わずに視線を外し姿勢を戻すオキーフ。
まだ熱さの残るフィーカを口にする。
角砂糖1個で崩れそうになる自制心を泥のような苦味で黙らせた。
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