フリンズさんと未来について考える話

テーマBGM:「カタオモイ」@Aimer様

「フリンズは、さ。生まれ変わりって信じる派?」
「おや、突然ですね」

 いきなり話しかけたのに、フリンズは読んでいた本を躊躇なくパタンと閉じた。私は私で、今読み終えた物語の本を閉じて、隣に座る彼の肩に寄りかかる。
「今読んでた物語に、そんな話が出てきてね。ちょっと気になったの」
「ふむ……そうですね」
 フリンズは口元に手を置いて悩む素振りをしながら、寄りかかってきた私の方に首を傾けて、私の頭に自身の頭を軽く乗せてくる。
「疑問に疑問を返して申し訳ないですが、貴女はどう考えますか?」
「うーん、そうだねぇ」
 私も彼の真似をして、口元に手を置いて回答を考えてみる。きっかけになった本を読みながらも考えては居たのだが、どう答えるべきか……は、悩むところである。
……私は、『そうであったのなら、それはそれで楽しそう』って思うかな」
「ふむ、なるほど?」
「だって、一度お別れしてしまった人と、また会える可能性もあるってことでしょう?」
 手を伸ばして、自分の頭に乗っている彼の頭を撫でてみる。くすぐったかったのか、小さな笑い声が耳元で聞こえた。

「で、フリンズの方は……どう答えるの?」
「そうですねぇ」
 自身の頭を撫でていた私の手を絡め取り、両手で優しく包み込まれる。
「では、僕も『そうであったのなら、想い人を探しに行けるから嬉しい』としておきます」
……なるほど?」
 二人とも「誰が」と「誰を」を口にはしない。けれども、二人しかいない空間でその会話をすることは、誰が対象と言っているのかが透けて見える。

 ――少しの沈黙の後、先にそれを破ったのはフリンズの方だった。
「貴女がもし、僕を忘れてしまっていたとしても、僕はもう一度貴女に片想いしてしまうのでしょう。その時は――覚悟して下さいね」
 そんな宣言を受けてしまい、私は目を丸くして驚いてしまう。
……ふふっ。そうなったら、絶対振り向かせてよね」
「宝物を見つけた時の僕を、貴女はご存知でしょう?」
「それはもう、えぇ勿論」
 昔の自分に起こった出来事をいくつか思い出すだけで笑ってしまう。あれやこれについては、それはそれは大変だった。
 
 彼に包まれていた手を引き抜いて、小指を立てて彼の方へ差し出す。
「ね、フリンズも小指出して」
……これは?」
「指切りっていうんだよ。たしか、稲妻の方の話かな?縁結びのお約束。――縁はなんでも結んでおこうかな、と」
「なるほど。言霊と合わせて、重ねがけのお約束ですか」
 彼の長い小指が私の指と絡まり、願いを込めてから、そっと離れた。
 

「そう言った話が必要であれば、僕も心得があります」
「心得?……ちょっと嫌な予感してきたんだけど」
「実は僕の故郷で行われていた風習なんですが――
「待って、妖精の『ソレ』は効果が怖い。少し考える時間を下さい」
「おやおや、それは残念ですね。しかし心変わりがあれば、いつでもどうぞ」
 そう言って和やかに笑うフリンズは、ちっとも残念そうに見えなくて。これは……絶対的な効果出るやつでは?と疑ってしまう。気になりはするが、それはもう少し待ってもらうことしましょうね。
 
 
 
『未来の話を、少しだけしましょうか?』