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Public 熱草
 

📘【熱草】胸を痛めても

「突然部屋の内鍵をかけられて…」から始まる、報われない片思いの話(973文字)

卒業式を目前に控えた三月 草津宅にて

「い、今からここは、セッセッ……性行をしないと出られない部屋です……
「えっ?!いっ、いきなりどうしたの、きんちゃん。毒キノコでも食べた?」
………
「きんちゃんがそんな冗談言うなんて、意外だなぁ
………
…………本当に?」
………本気だって言ったらどうする?」
俺と、きんちゃんが……?」
………
「えっと、そんなこと考えたことなかったから、今ものすごく動揺してる……。ほら、こういうのって普通恋人同士でするものでしょ?」
恋人じゃなくたって出来る」
「うーん……俺はやっぱり手順を踏むべきというか、もっと大事にしたいかな
あっちゃんは真面目だなぁ」
「そ、そうかなぁ?」
「あっちゃんは僕のことどう思ってる?」
「えっきんちゃんは俺にとって大切な友達で、家族みたいな存在でもあって
「僕は……あっちゃんが好きだ。友達としてではなく、恋人として、あっちゃんの隣にいたい。誰かにあっちゃんを取られるんじゃないかって、毎日不安に怯えるのはもう嫌なんだ」
「きんちゃん
「やっと昔みたいに戻れたのに、引かれるんじゃないかって怖くてずっと隠してきたけど、もう限界なんだ」
………
……ふっ、困るよな。いきなりこんなこと言われても」
「いや、そんなこと
「わかってた。きっとあっちゃんは否定せずに話を聞いてくれるって。君は優しいから、僕を傷つけないように、頭を悩ませて言葉を選ぶんだろうなって」
………ごめん、上手く答えられなくて」
「こうでもしなきゃ、前に進めないと思ったんだ。
だから、伝えられてよかった」
「ごめん………
「あ………もうこんな時間だ」
……ほんとだ。そろそろ、帰ろうかな」
「うん。……じゃあまた明日、学校で」
「お邪魔しました。じゃあね、きんちゃん」
「あっ、ごめん。鍵……
「あ……うん。それじゃ」


ガチャ………パタン


あっちゃん、「またね」って言わなかった。僕の気にしすぎかもしれないけど。どうせ苦しい思いをするなら、これでよかったんだ。何でも思い通りに行くわけじゃないって、わかってたじゃないか。
卒業したらもう顔を合わせることはないからちょうどよかった。これからあっちゃんが誰を好きになったって、僕には関係ない。
この胸の痛みも色褪せて、いつかきっと忘れられる日が来る。



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