黒木ゆん
2026-01-07 22:17:49
639文字
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10歳差🍭🌻

タイトルまんま これは書き出し

 岩手県に古くからある伝承の一つに、数えで六つになる男児が未の刻に縁側で一人で昼寝をすると神隠しにあう、というものがある。その土地に纏わる奇談を扱う資料を見れば片隅に載っている、といった程度のもので、今や信じている者はほとんどいない。そもそも日本家屋自体が時代とともに減少しており、子供がいる家に縁側がないことが多いため、語られることもそれに比例して減っていったのだろうと思われる。
 それでなくとも好奇心旺盛な年頃だ。昼寝から目覚め、そのまま誰にも声をかけず縁側から外に遊びに行ってしまって、いないことに気付いた大人が大騒ぎするも無事に見つかるというケースが大半を占める。この伝承も、もしかしたらそういったよくある話から発生したものなのかもしれない。
 そんな伝承のある土地で生まれ育った日車寛見は数えで六つの頃、祖父の家の縁側で昼寝をしている際に神隠しにあったことがある。正確には呪霊によって一次的に異空間に隔離され、後に帰還したのだが、呪力のない人間から見れば本当に神に攫われたとしか思えないような失踪の仕方だったのだ。その事件は、日車本人の中では嫌な夢を見たのだと解釈され、彼の両親と祖父もわざわざ思い出させまいと彼の前で語らなかった。故に年月を重ねるにつれ日車の記憶からは薄れていき、大人になってからは思い出すこともなくなった。
 なお、呪術高専の資料庫には、その際の呪霊討伐に関する報告書が保管されており、派遣された術師の欄には日下部篤也の名が記されている。