moto
2026-01-06 19:21:24
360文字
Public
 

運んでくる人

さまささワンドロワンライお題「初笑い」


簓が玄関の棚に、正月用の小さな馬の置物を置いていく。一つだったのが二つになり、三つ四つと増えていく。特に何も言わずに好きなようにさせていたが、どこまで増えるのかと不安を覚える頃にようやく打ち止めになった。九頭の馬の置物が棚の上で整然と並んでいる。これにもきっと意味があり、どういうことなのか聞けば教えてくれるだろう。簓の少しもったいぶりながらも嬉しそうな顔がはっきりと左馬刻の頭の中に思い浮かぶ。
 煙草をくゆらせながらとりとめもなく考える。馬が九頭。馬が九。着飾った馬が走っている。銃兎からの着信で馬たちは散っていった。長らく追っていた薬のルートが掴めそうだという新年からめでたいニュースである。すぐに行く、と返事をして事務所を出る。走る馬を見送って「馬が九頭で、うまく行く、ってな!」簓が楽しげに笑っている。