つぐころね
3024文字
Public √Eden 🤝
 

陽向・ふかもこ・ほっこり足湯

🤝雪豹の子と足湯でまったり

 
 ちゃぽり、と素足を少し熱めなお湯につける。
 所謂足湯といわれるソレは、冬の最中な冷たい空気の中でも体をぽかぽかにしてくれて……なんていうか、こう、気持ち良すぎて蕩けそう。

 「気持ちいいねぇ~」

 そんなボクの隣で同じように足湯を楽しんでいる雪豹の子は、本当に蕩けきってる感じに、ほえほえ~と緩みきった表情で膝に乗せたこぱんだ妖怪のもちっとした頬っぺをムニムニと弄り続けていて。そんな様子を横目に(癒しの相乗効果?)なんてボクまで癒されながら、雪豹の子の太くてふさふさで長い尻尾をブラッシングしている。ちなみにボクの頭の上で垂れている、ウチのこぱんだ妖怪はふさふさタイプで、隣の子よりも一回り小さい。個体差なのかな? 同種とはいえ不思議な存在だ。

 「藍花、ブラッシング上手だねぇ……気持ち良い~。前に手紙を運んできてくれた、青色の翼が生えた猫さんで慣れてるの?」
 「ふふ、そうかも? あの子、撫でられるのも毛繕いされるのも好きだからねぇ」

 小春日和には早いけれど、風もなく比較的穏やかな冬の昼下がり。足元があたたかいおかげで、ボクも斗碧くんも上着は脱いでいて。買ってきた温かい飲み物は冷たくても良かったかも、なんて笑いあった後で。とても、和やかな正月明けだ。

 「そういえば藍花、贈り物は喜んでもらえた?」

 そんなほわほわ~としていた空気の中、少し悪戯っ子っぽい眼差しで好奇心いっぱいの視線がボクに向けられる。ムニムニしていた手がヘンな所で止まったのか、斗碧くんのこぱんだ妖怪がヘン顔状態になっていてちょこっと哀れ。

 「嗚呼。うん、蜜雫はとても喜んで貰えたし……万年筆も――次の洋墨千年後の話もしてた、し? 喜んでもらえたんじゃない、かな?」
 「わ!洋墨インク切れまで使ってもらえそうなんだね!」
 「ふふ、斗碧くんのおかげだねぇ?」
 「そんな事ないよ! 藍花が買いに来て、選んでくれたからだし!」

 ぴっこぴこと尻尾を先を揺らしながら雪豹の子は嬉しそうに笑って、「あ!」と何か思い出したように声をあげる。それに驚いてボクの頭の上で寝ていたこぱんだ小蘭がずるりと前に落ズレてきて、そのままボクの膝の上に乗っていた斗碧くんもふかふか尻尾の上に着地。そして『こりゃあいい』と言わんばかりにスヤスヤと寝入りだす。良く寝る子だなぁ

 「藍花も贈り物ありがとう! あの子、とっても良い匂いだね!」
 「あら、ボクに届いた贈り物もすごく素敵だったよ? 春になったら一緒にお出掛けしたいくらいに」
 「新しい靴でお出掛け! 踵が心配だけど、素敵な予定だ! どこがいいかな。やっぱりお花見?」

 テンションが上がったのか、お湯の中にいた雪豹の子の足先がパシャリと跳ねる。その心情が尻尾や動作にでる様子は、しっかり者な彼女がまだ少女である証拠のようで――とても、微笑ましくて。「そうだねぇ?」と相槌をうちながら、少し冷めてきた焙じ茶ラテを飲めば。飲み物の存在を思い出した彼女も、こぱんだ妖怪を膝の上に座らせてから自分のカップに手を伸ばす。

 「藍花、焙じ茶ラテだっけ? おいし?」
 「ん、甘くて美味しいよ? 一口飲む?」
 「いいの? やったー! あ、藍花も抹茶ラテ飲む? ほろ苦さが少し残ってて美味しいよ!」
 「じゃ、交換こね?」
 「うん!」

 そうして手にしていたカップを交換し、ひとくち味見とお互いに口をつけて「おいし」「おいしいね!」と顔を合わせ、声もあわせて、二人で笑う。何気なく空を見上げれば――ちらり、ふわりと舞い落ちてきた雪の花。何処からか流れてきた風花なのか、誰かの悪戯か。冬の澄み切った青空に降る雪は、とても綺麗で。

 「わ、雪だ!」

 雪花に手を伸ばす雪豹の子を横目で見ながら、白が舞う青を見上げながらお湯の中で揺蕩う爪先を小さく揺らして遊んでいれば。ちくりと刺さった視線に顔をあげると。「藍花は雪、好き?」と無邪気に笑う雪豹の子。それに深い意味なんてあるわけないのに、トクリと高鳴る自分の心臓に少し落ち着こうね?なんて思いながら取り繕うように、なんでもないように「好き、だよ?」と笑ってから。

 「斗碧くんは? 雪豹の子、だしやっぱり、冬が好き?」
 「そうだねー。でもどの季節も好きだよ。それぞれに良い所も楽しい事もたくさんあるからね!」
 「ふふ、寒いのも?」
 「寒い日に暖かい部屋で食べるアイスは最高だね!」
 「嗚呼、たしかに?」

 なんてことのない、いつも通りな言葉たちを交わしながら、青と戯れる風花を見上げる。思慕に過る淡雪が見せてくれた白金や、最近忙しそうで会えていない竜胆色は、ちらつく六花と共に指先で溶けて。ほんの少しの息苦しさを残して消えて。

 「ね、ね、藍花。足湯の次は何処に寄る? 温泉饅頭とか温泉卵の買い食い出来るお店、さっき見たんだよね」

 そんなボクの揺らぎを覆すのは、雪豹の子のほころぶ花のようや笑顔と弾む声。可愛いなぁ、と足元だけでなく心も温かくなるような無邪気さで。「夕餉、食べれなくならない⋯くらいにしておこう、ね?」と目を細めて小さく笑えば、ハッ!!とした顔をしたあと、分かり易くシュンとショゲる様すら可愛くて。

 「半分こ、しよっか。それなら大丈夫、でしょ?」
 「いいの!?」
 「ん、ボクも食べたいしねぇ」
 「やったー。どっちから行こうかなぁ、やっぱり甘いのが後の方がいいかなぁ」

 ほっこりした気持ちで心を満たしてから、膝を温めてくれていたふかふかの尻尾を最後にひと撫でし。意図を汲んだ雪豹の子が、いつの間にか彼女の頭の上に居座っていた、こぱんだ妖怪に尻尾をかぶせるように移動させていくのを横目に。ぬくぬくと浸かっていたお湯から足先を引き抜いて。次の楽しいへと向かう準備を始めていれば、聞こえてきたのは――

 「ね、藍花、藍花、大変! 温泉饅頭、色んな味があるよ!」
 「わお、それは大変」

 先に準備を終えていた雪豹の子の、そんな声で。その彼女の重大案件に、つい笑いそうになったのを堪えて言葉を返し。走り出してしまいそうな彼女の手を、きゅっと握り。「走ると危ないよ?」「あ、うん!そうだね!」そんな言葉を笑顔で交わし。

 「えー、どうしよう。両方食べれるかな?」
 「温泉卵をお土産にするって、どぅ?」
 「それも良いけど、その場でも食べたいよねぇ。悩むなぁ」

 湯けむり漂う道を、のんびりと二人並んで歩き出し。今後の買い食い対策を真面目な顔で悩む彼女を横目でみながら、空を見上げる。自分の手が届かない高さでは、まだ風花がふわりふわりと舞い踊っているのが見えたけれど。今度は握っている温もりのお陰が、ただただ(綺麗だなぁ)と思うだけだった。

~終?~
独り言 新年1つ目はお友達と足湯編~昼間~でございました♪
 や、年末から書いてはいたのですけれどもね? 聖夜の贈り物で色々とお世話になったので、それも含めての斗碧くんとの小噺に。おこたでも良かったのだけれど、ちょっと昼/夜で書きたいなーと思って、温泉街っぽい所に遊びにいってもらってる雰囲気にしてみたり。ちょろっと小ネタ紛れ込んでみたら文字数膨らみましたがまぁ、いつものこと☆ということでヒトツw



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√Eden 藍花 / 藍苺堂