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babugaki
2026-01-05 18:17:54
1285文字
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とっくのとう
後天性にょたの🛁と態度が変わらない🦚の話です。
奇物の影響で女性になった、という報告をした。ギャンブラーは驚かなかった。そして、ほとんど態度を変えなかった。
「君は、今の僕をどう思う」
「どうって?」
仕事の話が終わり、お互い次の仕事まで少しのインターバルがあるということで、彼が持ってきた焼き菓子をお茶請けに、僕の淹れた紅茶をふたりで飲んでいる。
僕はカップとソーサーをテーブルに置き、真っ直ぐに彼を見た。彼の表情は凪いでいて、いつもの飄々とした雰囲気に変わりはない。
「僕がこの姿になって四時間ほどだが、その短い間に、もう三度、肉体言語によるディベートを挑まれ、五度、臀部や腰に触れられそうになり、八度、食事やお茶に誘われた」
「それは災難だったね。ちゃんと全部返り討ちにした? 僕の助けは必要かな?」
彼もまた、カップとソーサーをテーブルに置く。す、と目を細めて低く言うので、僕は首を振る。
「いや、結構だ。ディベートは三度とも僕が勝利したし、セクシャルハラスメントには然るべき対応をした。食事やお茶の誘いも、無論全て断ったとも」
「それならよかった。さすが教授だね」
「君は」
「うん」
「君だけだ。僕がこの姿になっても、何も変わらなかったのは」
僕は彼にそう言って、フィナンシェに手を伸ばす。彼の手土産はいつも一級品だ。並ばないと買えないんですよ、と学生たちが言っていたこともあるが、まさか、彼自身が並んでいるのだろうか。
フィナンシェの包みを開ける。口元に近づけると、芳醇なバターの香りがふわりと香った。一口齧ると、じゅわりとバターの風味が口いっぱいに広がる。美味しい。
「気に入った? なら、また買ってくるよ」
フィナンシェを咀嚼し、飲み込む。膝の上に肘を置き、頬杖をついた彼は、嬉しげに目を細めている。僕が彼からのプレゼントを受け取ったとき、よく見る顔だ。
「それで、君はなんとも思わないのか。ビジネスパートナーが突然異性になったんだ。不都合もあるだろう」
「ないよ。僕にはね」
キッパリと言い切って、彼もまたフィナンシェに手を伸ばす。
「男とか女とか、関係ないさ。僕はべリタス・レイシオを信用しているし、信頼もしてる。それは性別が変わったくらいじゃあ揺らがない。たとえ君が犬や猫になったとしても、僕は君を信じてる」
「
……
何故」
「わからない? 君のことが好きだって言ってるんだけど」
ぎゅっと、フィナンシェを持つ手に力がこもる。その衝撃で生地が少し崩れて、欠片が膝に落ちた。それを拾い上げながら、僕は質問を重ねる。
「冗談か?」
「本気だよ。信じられないって言うなら、君が元に戻ったとき、また改めて告白する」
ぱくりと、ギャンブラーがフィナンシェを齧る。彼がいつ勝利を確信して、勝負に踏み切ったのか。知らないうちに負かされていたことが、少し悔しくて、けれど、嫌ではない。
「前々回のミーティングで君が買ってきたキャンディがあるだろう」
「ああ」
「あれがもう一度食べたい」
「もちろん、君が望むなら」
僕の答えに、アベンチュリンが甘く微笑む。それは、初めて見る顔だった。
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