オーキとサンドリエイル、リュネストとディスルトーンの図式になったら確かに面白いことになるだろう。その場合、アンタイアーをどちらの軍勢が取り込むのかということが、やはり戦況を分けることになるのだろうか。
「オーキがとうとう古い主人を切り捨てるか」
「まだわかりません。家の中の動きは二分しているようです。ディルストーン派とサンドリエイル派に分かれたようですね」
「どう着地するか楽しみだな。女預言者の件、いい刺激になるといいんだが」
「意外なところが繋がりましたね。オーキとサンドリエイルとは」
「意外でもないだろう。求心力のなくなった王に仕えても泥舟だろうからな」
「求心力に関しては、トルガ様も似たようなものでは?」
「お前が言うと説得力があるが、俺は将来性があるだろ」
肩を竦める。どちらの派閥も、結局は同じことを案じているのだろう。
主人であるディルストーンに対する不安だ。
それでも騎士の誇りや忠義、そして情勢を鑑みて今の主人を貫くべきだと言っているのが、ディルストーン派だろう。そして忠義よりも自分たちの家を守らねばならぬと鞍替えを検討しているのがサンドリエイル派といったところだろうか。
サンドリエイルが力をつけるのは不都合な展開だと思っていたが、こうなってくると勢いづかせた方が都合が良かったのかも知れない。つくづく、全てがうまくはいかないものだ。
「こちらを撹乱させるための誤情報の可能性もありますから、もう少し探らせるつもりではいます」
「頼む。こうなってくるとアンタイアーの動きが戦局を決定しうる。そちらも注意を払っておいてもらえるか?」
「アンタイアーですか」
ジョアンが渋い顔をした。
何を考えているのかはわかる。彼らは小規模な共同体を作っており、その文化も信仰も独特だ。手持ちの諜報員では内部に潜り込めないのだろう。
トルガが任されても同じことで悩んだだろう。
「苦手なんだろう? わかっているがあそこだけ放置するわけにもいかんだろう。仮にも五名家に名を連ねる程度にはでかい勢力なんだからな。だが条件は他の家も同じはずだ。他の家から情報を盗むなり、親交がある商人からうまく聞き出すなりしてくれ」
「そういった泥の中を這い回るような仕事はトルガ様の方が得意でしょうに」
「あいにく今の俺には立場があり、時間がない。いってもよければそうするさ。あの辺りは一度旅行してみたかった」
彼らの信じる血を好む女神の噂を知っていれば、まともな神経で旅行したいなどとは思わない。
ジョアンは気味の悪いものを見る目でトルガを見つめた。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.