ニャモニ
2022-12-19 01:32:07
1471文字
Public 【FF14】エス光😺
 

もっと近くで

エスティニアンが暁加入直後のお話

 槍が放物線を描いて美しくしなる。
 長く重いそれを手足のように軽々と振り回し、相手の持つ剣を掬い上げ弾き落とす。
「次、来い」
 竜より授かりし濃紺の鎧に身を包んで、その重たい鎧も枷にはならず空へと高く舞う。
 誰よりも美しく、力強く槍を扱う人――エスティニアン。

「お前も混ざるのかと思っていたが」

 暁に参入した元蒼の竜騎士のエスティニアン。
 皆、塔の調査と忙しい中でも「一度は手合わせしたい」と、血の気の多いメンバーたちが隙間をぬって一同に集まり稽古をつけてもらっていた。
 グ・ラハやアルフィノ、アリゼーは、どうしても時間が合わず。参加できない事を暁のリンクパール越しに悔しそうに唸っていたのは面白かった。
「私はいいんだ。エスティニアンを見ていたかったし」
 今日のモードゥナの天気は霧深く湿気も多い。訓練が終わった後の皆はシャワーでも浴びたように全身びしょ濡れだった。
 まだ石の家で自室の準備が終えていないエスティニアンを私の部屋に招いて、なみなみと水を注いだコップを渡す。
「今日はみんなに付き合ってくれてありがと」
「別にお前が礼を言う事じゃないだろ」
 汗をかいて張り付いた銀色の前髪を掻き上げてから、グラスへと口をつける。
 喉仏がゴクゴクと上下するのを見つめながら、エスティニアンが私の居場所に対して交流を試みてくれるのが嬉しいと思うこの気持ちを、何て言えばいいのか考えていた。
「あ、お風呂」
「借りていいか」
「もちろん」
 待っていて、と伝えて部屋にあるバスタブにお湯を溜めに行く。
 そういえば石の家に戻った時に、エスティニアンだけ部屋に誘ってしまったのは周りから見たらおかしく思われたかもしれない。
 同年代の暁の皆には二人の関係も知られてはいるけど、隠しもせず当たり前のように部屋に連れてきてしまった。
 今頃になって思い出してしまい、気恥ずかしくて胸の奥が擽ったい。さっきの手合わせだって、私は八割エスティニアンしか見ていなかった気がする。
「うわぁ……
 気をつけよう。
 世界の危機なのに、エスティニアンがいる事に浮かれてしまっているのかもしれない。
 溜まっていくお湯に手首まで浸して、温度を調節し直してからバスルームから出る。
「エスティニアン、そろそろ……
「ああ、悪いな」
 分厚くて重いアイスハートの鎧を脱いで、薄いインナーだけのエスティニアンがそこにいた。
 汗でぴったりと張り付いた布地に筋肉が浮いて、脱ぎかけて見えている腹筋の段差には汗が流れているのが見える。
……ちょっと、待って!」
「何だ?」
 半脱ぎのエスティニアンに「動かないで!」と手を向けて静止を促す。足早に歩み寄り、インナーを脱ごうと持ち上げた脇の側に顔を寄せて――
……汗臭い!」
 くんくんと鼻を動かして匂いを嗅ぐ。
「当たり前だろっ」
 逃げ腰になるエスティニアンの腰を掴んで汗に濡れた胸元に鼻先をつける。
……エスティニアンが、くさい!」
 ちゃんと臭いのだ。こんなに綺麗でかっこいいのに、触れる肌は熱くて汗臭いのだ。
 それがなぜか、無性に愛しい。おかしいかもしれない。でも、本能が訴えてくる。
…………
 臭いと連呼しながら擦り寄ると、力いっぱい押し付けるように抱きしめ返された。
「お前が悪いからな」

 そのままマーキングするみたいに汗で濡れたエスティニアンに全身をたっぷり濡らされてしまって――
 お風呂のお湯が溢れてしまって大変な目にあったのはその後の話。
おわり