ニャモニ
2021-11-22 17:56:40
2448文字
Public 【FF14】エス光😺
 

アレンヴァルドは心配する

みっきさんのpixiv掲載されている
エスティニアンのはなしにある「エスティアニンとエッチな下着 おまけ漫画」の前あたりにあったお話です。



 久々の休暇を貰い、常駐していたラールガーズリーチを出て、我らが本拠地であるモードゥナへと戻って来た時の事だった。

「アレンヴァルド、久しぶり!」
 同じタイミングで帰ってきたのか、でっかい荷物を抱えたミコッテ――光の戦士であり、暁での年近い友人の一人でもあるルカは、小さな身体のどこから出たのか分からないほど元気な声を掛けてきた。
 荷物の中身はトマトやキャベツの食材たち。おおかたタタルさんかエフェミあたりに使いを頼まれたのだろう。
 代わりに荷物を持ってやると、嬉しそうに笑った。
「アレンヴァルドはいつまでいるんだ?」
「二日は泊まる予定だ。長居してもなぁ……アルフィノの見舞いも出来ないようだし」
「うん。あ、でも向こうで元気にしているし、解決出来るように頑張っているぞ」
「そうか」
 魂だけ別の世界――と、意味の分からない状態だが、こいつが頑張っていてどうにもならなかった事はなかったのだ。任せておけば良い流れにきっとなるだろう。俺は俺の出来ることをして朗報を待てばいい。
 ルカの様子は追い詰められているような様子もなく、悲痛な様子でもない。見るからに元気そう。というより、前より少し様子が違って見える気がする。
「せっかくだし夕飯でも一緒に食べるか?」
「えっ、と……。私は、ちょっと。その、時間に都合がつきにくいというか……
 途端に恥ずかしそうに、もごもごとしだす。さっきの元気はどこへいった。
 もしかすると、このちょっと残念な英雄にも何か春めいたものが訪れたのか。
「なんだよ。良いことでもあったのか?」
 問うために肘で緩く相手の肩を押すと、へろへろとよろけながら嬉しそうに緩んだ顔を見せた。
……エスティニアンと、会うんだ」
――――詳しく話そうか」
 テレテレしているルカの手首を掴んで、セブンス・ヘブンの酒場へと入った。
 
 店の奥まったテーブル席。ルカはしきりに耳を動かし、丸い頬を赤く染めている。

「で、どういう関係なんだよ」

 暁に入ってから。あの事件の後になるが、ルカとアルフィノとは良い友人関係になった。立場は違えど年下の二人を弟や妹のように思っていて、いつかこの可愛らしい二人が付き合っちまえばいいのにな。なんて、思うこともあったのだ。
 アラミゴ奪還から離れていた間に少しは進展するかと思ったが、他の男に奪われていたとは……
「エ、エスティニアンって、すごく強くて、かっこいいんだぞ!」
「そんなことは聞いてないだろ」
 エスティニアン。
 耳にタコが出来るくらいアルフィノからも良く聞いた名前だ。
 ルカは頬の横に流れる髪をくるくる指に絡めて、ふにゃりと笑う。今まで見たことのない可愛い顔で。
 胸が痛い。これはあれだ。娘に彼氏が出来た父親の心境に近いのかもしれない。
「で、ちゃんと付き合ってんだよな?」
 ルカ本人は幼少時の記憶がなく正しい年齢は覚えていない。だが、どう見てもアルフィノよりは年上で俺よりは若い。まだ少女と言える年齢だ。そのエスティニアンって男は三十過ぎのはずで。
「突き合う????」
「そうじゃないっ! 自分で言って照れるなよっ」
 目を丸くして顔が真っ赤になり、隠すように両手で覆う。命懸けの戦いをしている中でこいつがこんな顔を出来るのは嬉しいが――それと、これは、話が違う。
「私、その。エスティニアンのことがすごく好きだったみたいで」
「だからそんな話じゃなくて、遊ばれてんじゃねーのか? 相手はおっさんだろ?」
「あ、遊ばれてないぞ!」
「騙されて身体だけ許してるだけだろ? 言質取ったか? 都合よく呼び出されているだけじゃねえのか?」
……違うし」
「お前、ちゃんと好きとか、恋人とか言われてないだろ? どんな関係なんだよ、言ってみろ」
………………大事な、ひと……だと思ってる」
 しゅん。と、頭の上の耳がしおしおと伏せる。頭の形がぺたんこだ。
 言い過ぎた気もしているが、どうしてここで二人の関係が分かる言葉が出てこないんだ。やっぱりちゃんとされていないじゃないか。
 ベソベソと下唇を突き出して、大きな目が潤んでいく。頭を撫でてやりたくなるようなこんな少女に、エレゼンのいい大人が本気になるとは思えない。
「よく考えろよ。自分だけが好きな恋愛なんて辛いだけだぞ」
……私が好きなら、形なんていいじゃないか」
「いいわけないから言ってるんだ。騙されてないっていうなら、さっき言った通り言質取ってこいよ」
…………
「俺は間違ったことは、言っていない」
……………
 沈黙して俯くルカ。肩が震えているのが見える。ここで同情しても仕方ないだろ。俺以外に誰がにこにこしてふわふわな英雄に注意出来るのか。
「分かったなら、もう少し警戒を――
「アレンヴァルドの意地悪っ!! 友達が嬉しいんだから、一緒に喜んでくれてもいいじゃないか!」
 テーブルの上に置いた荷物が、俺の顔を目掛けてぶちまかれる。
「それ、集めて渡しておいて! 私は採掘してくるから!!」
 何とか中身ごと袋を胸に抱き止めたが、トマト一つ転がってしまった。ルカは荷物を抱き直している間に姿を隠していた。

 俺の言葉にへろへろに弱っていたはずなのに、友達を祝福してやれなかった後ろめたさを的確に刺して去って行く。英雄の火力は確かに高い。
「悪かったよ……
 ルカが去った酒場の扉へと届かない声を掛ける。
 それでも俺は何度でも言う。誰かを守ってばかりの英雄が、プライベートでボロボロになる可能性があるのは捨て置けない。アルフィノなら資産家の息子な上、絶対将来はいい男になるというのに、どうしてそこなんだ。
 落ちたトマトは軽く接触面が凹んだだけで食べるには問題なさそうで。軽く砂だけ払って袋に戻す。
 残念ながら今の俺にはタタルさんにルカの様子を見てくれと、頼むくらいしか出来ることはなかった。

終わり