ミノル
2026-01-04 13:24:21
1112文字
Public しんらぶ/二次創作
 

待ち人:必ず、来る

しんらぶ/日本号視点+例の槍少女(日本号少女想定)/ 会話はない

年始のイベント(おみくじの神様2026)でこういう事もあったらいいなという妄想。正式転入はよ。
書けなかったけど多分この号さん、年末年始本丸で呑み明かすつもりだったのに黒田組少女の誰かに元旦初詣に連行されたイメージ。多分皆が屋台で買い物してるのを待ってる最中。


暇つぶしに引いた運試しの結果は、どうにも悪かった。
凶。凶って。
内容も当然、叶いにくいだの見つかりにくいだの、新年のすがすがしい気持ちを萎えさせる言葉ばかりが並んでいた。
憂鬱な気分と共に紙切れをポケットに押し込み、酒でも飲むかと店を探したが、あいにく正月でどこの店も閉まっている。
初詣の参拝客を相手にした屋台はにぎわっていたが、求めているような酒は扱っておらず、酒精がほとんどない甘酒くらいしか売っていなかった。

仕方なく甘酒をすすりながら参拝客の波を見ていると、――明らかに異質な女を見つけた。

栗色の長い髪をフラフラと左右に揺らして歩く女は、それだけならただの酔っ払いだと気にも留めなかっただろう。正月の空気に浮かれて酩酊する輩なんて、自分も含め珍しくもない。

異質なのはそいつが持っている長物だ。
女は恐らく――真剣少女だろう。

遠目でもわかるその得物は槍。女は足元は酔っ払いのごとくおぼつかねぇくせに、携えた槍と体を人に当てないよう、器用に除けて歩いていた。武器の扱いには慣れてやがる。
憑喪の脅威があるとはいえ、屋敷町の一般人は武器を取らない。そういうのは真剣少女と呼ばれる奴らの仕事で、屋敷町で武器を持っている女がいれば十中八九真剣少女だ。槍の真剣少女というのは初めて見るが、俺が知らないだけでいるのかもしれない。

だが、それ以上に気になった部分がある。

あれは、あの槍は――


遠目からじっと観察していると、視線に気付いた女がこちらを向いた。

鮮やかな緋色の瞳が、俺を貫く。

貫いた側の女も驚きに目を丸くしたあと、肩からかけた水筒をひとくち煽り、唇を潤す。


それからもう一度、明らかに俺を認識した上で――女は笑った。


まるで火酒をかっ喰らった時のような熱が、自身を焼く。
一瞬で駆け巡った酩酊感によって、どうにも女から目が離せない。


しばらくすると女は愉快そうに手をひらひらと振って、人込みに消えていった。


狐につままれたような、まだ酔いが残っているような心持ちで、女が消えた人波をぼんやりと見つめる。
暖を取るつもりで買った甘酒は、寒空の下ですっかり冷たくなってしまった。

何となく落ち着かない気分で残った甘酒を一気に煽る。
もう一杯飲むかと小銭を探ると、さっき押し込んだ紙切れに触れた。
雑に畳まれたおみくじを広げて、もう一度中の言葉を読む。


願望:叶いにくい
失せ物:見つからない事多し
勝負事:慎重になるべし

待ち人:必ず、来る


……ははっ」

まったく、幸先いいね。
そう小さく笑った俺は、凶のおみくじを丁寧に畳んで懐にしまうのだった。