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babugaki
2026-01-03 22:07:35
942文字
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ことほぎ
放誕生日おめでとうのワンライです。
「誕生日おめでとう!」
ナド・クライには僕の誕生日を知っている人間はいない、はずなのに、何故だか街ゆく人間にそう声をかけられる。さっきの人間でもう五人目だ。
こうなるように仕向けた誰かがいるのは明白だ。旅人か、ドゥリンか、あるいは両方か。全く余計なことばかりしてくれる。どうせ笠を被った少年が誕生日なんだ、とかなんとか言って回ったに違いない。
顔しか知らない、名前も知らないような人間に祝われても、どう反応していいのかわからない。だいたい、他の人間に祝わせておいて、何故自分はやってこないのか、まるで意味がわからない。
「あ、笠の人だ! おめでとう!」
六人目。ため息を吐いて、会釈だけを返す。次の人に声をかけられる前に僕は笠を脱いだ。すると、そのタイミングで、背後から声がかかる。
「ダメだよ、脱いじゃ。せっかくみんなおめでとうって言ってくれるのに」
「有象無象からの祝いの言葉に価値はないよ」
「なんてこと言うんだ」
笑いながら、旅人が僕の隣に立つ。腹の立つにやけ顔だ。ぱちん、と額を指で弾くと、いたぁい、と大袈裟に騒いでみせる。
「君の仕業だと思ったよ。ドゥリンにも手伝わせたんじゃないだろうな」
「ひどいな、ドゥリンとふたりで考えたんだよ。ここはスメールじゃないから、君を祝ってくれる人があんまりいないだろ?」
「だから
……
」
「俺の気持ちだよ。たくさんの人に君を祝福して欲しいんだ。何人におめでとうって言われた?」
「
……
六人」
「それだけ? うーん、やっぱり笠を被ってよ」
「嫌だね。もう十分だろう。それより」
立ち止まり、彼と向かい合う。僕が何を望むのか、わかっていないようで呆れた。
「君は、僕に言うことはないの」
三秒、固まって、はっとする。がしっと手を掴まれた。そして。
「誕生日おめでとう!」
「うるさ
……
」
街の人々が、僕らを見る。誕生日なのか、おめでとう、と次々に声をかけられる。せっかく笠を脱いだのに、無駄だった。また、ため息を吐く。
「行こう、プレゼントがあるんだ」
「はいはい、ありがとう」
ぐん、と彼に手を引かれて、走り出す。楽しげにこちらを向いたまま走る彼が転ばないように、前を向け、とたしなめて、僕は握った手に力を込めた。
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