三毛田
2026-01-03 21:42:29
1074文字
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26 は. 羽根を捨てた天使

26日目
俺のために捨てないで

……マジで?」
「どうしたんだ? 穹」
「いや、だって。お前、昨日まであった羽根は」
「ああ。邪魔だから捨てた」
「おおんっ」
「嘘だ」
「どっちなんだよっ」
「邪魔にならないようにしてある。だが、俺は本当にお前のためならば、この羽根を捨てることは厭わない」
 なんでそんなに、色々キマってるんだよ?!
 おかしいだろ!!
 俺は、丹恒とは違うただの人間だ。
 だから、彼のその羽根がとても大切なものだと思い込んでいる節がある。
 真っ白な三対の羽根。俺と彼が出会った時、それはボロボロで。
 オマケに、彼自身も意識がなかった。慌てて部屋に運び込み、数日かけて看病。
 その間、寝不足で勉強も身に入らず。
『お前か』
『えーと。看病したのは、俺です』
『助かった。すまないが、一つ頼みがある』
『俺にできることなら』
『力が戻るまで、厄介になってもいいだろうか』
『こんな狭いけど、大丈夫か?』
『お前が眠る時は、姿を消す。それなら、お前が眠る場所は確保されるだろう』
 という言葉を交わし、俺は彼――丹恒――と同棲することになった。
「丹恒のその羽根、綺麗だから好きなんだけどなぁ」
「だが、ここでお前と暮らすには邪魔だ」
「そう?」
「ああ」
 食事を終えて、柔らかい毛質のブラシで綺麗にしていく。
 抜け落ちた羽根は、一つ一つ丁寧に埃を落として袋に保管。
 たくさん溜まったら、羽毛枕にするのもいいかも。
「丹恒の事情って、聞いてもいいか?」
「聞いたところで、つまらないと思うが」
「それを決めるのは俺」
……気持ちのいい話じゃないが、それでもよければ」
「うん。お前の事、もっと知りたい」
「なら」
 温かい飲み物を用意して、丹恒が話し出すのを待つ。
 要約すると、彼が住んでいるのはここではない場所。
 時々、俺のいる世界と繋がる穴が開くという。
 彼の前世の人が犯した罪を償うため前線で戦っていたが、敵の攻撃でその穴に落ちたこと。
 穴を通過すると次元のバランスの違いにより、ダメージを受ける。だから、全身ボロボロになり意識を失ったという。
「それ以降は、お前が知っている通りだ」
「なるほど」
「いつか帰らないといけないとわかっているのだが、お前と過ごすこの日々がとても愛しいんだ」
 普段は無表情か、少々怒ったような表情が多いのに、嬉しそうに笑うから。
 ぎゅっと心臓を掴まれる。
 分かっていた。彼が好きである自分に。
 一目惚れだ。
 ずっと一緒に居たい。それは叶わないと、わかっているけれど。
「実は、俺も同じだ」