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akane898819442
2026-01-03 17:51:52
1464文字
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Halloween Night
ハロウィンの夜の丹星のお話
深夜のパーティー車両は、つい数時間前の喧騒が嘘のようにしんと静まり返っている。
数時間前。星穹列車ではハロウィンパーティーが行われていた。「今年は仮装をしよう」と三月が張り切って列車のメンバー全員分の衣装を手配した。
姫子は魔女、三月は教会のシスター、ヴェルトはミイラ男、星は悪魔の仮装だった。パムとサンデーは頑なに嫌がったので、いつもの服装だったけれど。
「丹恒はこれね!」と三月に有無を言わさず着せられたのが、ヴァンパイヤの衣装。「うわー、血をいっぱい吸われそう」と物騒なことを言いつつ、星は嬉しそうに何度も端末で写真を撮っていた。
星の悪魔の衣装は、ノースリーブの漆黒のドレスで、上から覗くと胸元が見えてしまいそうな露出の高いものだった。スカートもやたら短く、いつものように動き回っていたら下着まで見えてしまいそうだ。思わず眉間に皺を寄せてしまいそうになるのを、三月が気づいて「列車の中だけだし、今夜だけなんだから」とこそっと耳打ちされてしまった。
パーティーは、パムのかぼちゃフルコースから始まり、三月と星が作ったかぼちゃのバスクチーズケーキで幕を下ろした。歓談し、ボードゲームもして、おひらきになったときに星が何か企んでいそうな、楽しそうな笑顔でこちらへ寄ってきた。
「また、夜に行くね♪」
◇
丹恒は資料室に戻って、最近の開拓のアーカイブの整理や読み込みをしながら星を待っていた。でも、日付が変わるまであと1システム時間と時計の針が示しても、彼女は一向に現れない。さすがに気になって資料の内容も頭に入らず、丹恒は資料室から出てパーティー車両に向かった。
緩やかなカーブを描く階段を昇りきって、部屋の扉をノックする。部屋の主からの返事はない。丹恒は遠慮がちにゆっくりと扉を開いた。
部屋の中は明かりが消えていて、奥にあるPCモニターだけが目が眩むほど明るい。その光に照らされて、星はモニターの前のゲーミングチェアに腰掛けて、テーブルに突っ伏した状態で穏やかな寝息を立てていた。
今日は朝からヘルタに呼び出されていたし、帰ってきてからは三月とパーティーの準備で忙しそうにしていた。『少しだけゲームをしてから夜中に資料室に行こう』と考えていたのかもしれない。小さな手にはコントローラーを握りしめたままだった。
丹恒は星の手からコントローラーを抜き取って、静かにテーブルに置く。カタン、と小さな音が鳴ってしまったが、余程熟睡しているらしく長い睫毛は伏せられたままだ。
露出の高い衣装のまま、いつからうたた寝をしていたのだろうか。心配になり、ゆっくりと横抱きに抱き上げてベッドに向かう。前線でバットを振り、大きな槍を使いこなす姿からは想像もつかないほど、軽くてふわふわして、あたたかかった。
ぎしりとベッドに下ろすと、体勢が変わったからか星が小さく身じろぎした。子猫のように背中を丸めて、ゆっくりと蜂蜜色が覗く。その瞳はまだとろとろして夢の中にいるようだ。
「たんこー、
……
トリック・オア・トリート?」
喉にミルクが絡んだような甘だるい、小さな声が響く。丹恒はポケットからイチゴのキャンディの包みを取り出してそっと星に握らせた。星は満足したようにふふっと笑って、くしゃりと包みを握りしめる。そして、そのまま夢の世界におちていった。
「おやすみ、星。」
丹恒は、聞こえているかわからない彼女の耳元で小さく呟く。寝息をたてて眠る柔らかな頬に、そっと口付けを落とした。
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