『燃ゆる女の肖像』

思ったことを残しておくためのメモ。ネタバレあり

『燃ゆる女の肖像』
監督・脚本:セリーヌ・シアマ
2019年 フランス映画

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マリアンヌ、かっけー。
キャンバスを乾かしながら一服する姿。
暗い屋敷に臆することなく探検する姿。
コートを羽織ってポケットに手を突っ込む姿。
手に職つけて一人で生きていこうとする姿。
教養もある。
女性というだけで禁じられているようなことでも、「隠れてやればよい」と父の名を借りて絵を描いたりする。
覚悟があるから行動に筋が通っている。
かなり現代的な考え方をする女性だな。

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あの屋敷は冥府なのだろうと思う。
途中で出てくるオルフェウスが妻を冥府から連れ出そうとする話。
あれがこの映画の軸になっているんだろうなぁと想像。
もしかしたら、当時の女性の生き方そのものが冥府なのかもしれない。知らんけど
オルフェウスの話があってからのエロイーズの「振り返ってよ」の言葉に含まれた気持ちを考えると、ため息。
最後にマリアンヌがオルフェウスの妻が冥府にさらわれる瞬間そのものを描いていたのも
エロイーズの姿を振り返った最後の瞬間のことをずっと忘れられないからなんだろうな。

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屋敷に飾られているエロイーズの母の肖像。
肖像画は彼女よりも先に屋敷にいて、彼女を待っていたそうな。
その話を聞いて、当時の女性の結婚についての在り方を悟る。
描かれた通りの女性にならないといけないということだよなぁ。

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エロイーズと初めて言葉をかわすときの、セリフが好き。
海に向かって駆け出すエロイーズ。
ギリギリのところで立ち止まるけど、彼女の姉の自殺が頭をよぎった。
「夢見ていました」
「死を?」
「走ることです」
あんなふうになりふり構わず走り出すとか、許されなさそう。
エロイーズにとっては貴族の女性として生きるより、修道院での生活方がよっぽど自由だったんだ。

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この映画ではずっと音楽がなくて自然の音だけが聞こえていて、
どこか受け身のような寂しさがありそれが彼女たちの生きる世界のように思える。
そんな中で女性たちが歌うシーンとかヴィヴァルディの音楽がある場面では世界に抗うような力強さがあって好き。
音楽は生命とか心の自由のようなものを表しているんだろうなと思う。
マリアンヌも言ってた。ヴィヴァルディの「夏」について、「命を感じます」と。

最後の場面ではエロイーズはマリアンヌとの思い出をずっと大事にしていて、
それが今でも彼女の中で生きているのだなぁと感じられた。
それが音楽によって鮮明になっているのだろうと思えて胸が締め付けられる気持ちになった。
エロイーズの心の中の景色まで浮かんでくるようなあの演技は最高だったなぁ。

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この映画では音楽の他に、エロイーズとマリアンヌの顔が重なる画面がかなり印象的だと思った。
最初は不信感と疑念があって歪なコラージュのようになっているんだけど
最後には自然に重なり合っていて、二人が一つになっているような柔らかさがあってよかった。
あとは最初に描いた肖像画についてのエロイーズの意見もかなり印象的だった。
「この絵は私に似ていません。あなた自身とも違う」
あなた自身とも違う!
2つ目に完成した肖像画は私であり、あなたでもあるということなんだろうな。

この映画では存在の重なりがたくさんあり、それが映画全体で和音のようで好きだった
冥府と生命 炎と闇 静寂と音楽 あなたと私