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asahito
2026-01-02 22:08:23
3393文字
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Corpse Reviver④
前作駒草太夫の現パロのお話はこちら⇒
https://www.pixiv.net/novel/series/7583585
一部R18です
続編である今作の第1章(錦上京キャラ中心)はこちら⇒
https://www.pixiv.net/novel/series/14625442
一部R18です
東方キャラが現代にいて、普通に人間として暮らしてたらを書いたお話です。
ユイマンの勤めてる所給料どれくらいなんだろ。
私が休日でユイマンが仕事の日。私は家の中で専門書に読みふけっていると、珍しく彼女から会社の前まで来ないかと連絡があった。
どうやら美味しいお店が最寄り駅の近くにできたらしく。試しに食べに行ったら味が気に入ったらしい。
彼女は気に入った店や体験を共有したがる傾向にあり。美味しいものを食べに行くなら私も喜んでいくが。
鹿狩りにあのバーの店主を誘ったり、幼い頃山の中で木の実やら茸やら持ち帰ろうとしたりして後で農家の人に見て貰ったら幻覚作用のある茸だったり。
運動神経も良く野生児のような動きをしていたせいで、私も何度眼鏡が吹っ飛んだか分からないことを思いだした。
『きっと阿梨夜も気に入ると思う!』
スタンプ付きのメッセージは嬉しそうに蛇が笑っているスタンプ。
今は美味しい料理を食べよう、という誘いが主なので命の危険に晒されることは少なくなったけど。
精神が回復して新たな趣味などを始める場合。私は果たして無事なのか心配になることはある。
彼女の会社があるビルの近くにチェーンのカフェがあるから、定時までそこで時間を潰しててと言うのでコーヒーを飲みながら専門書の続きを読んでいた。
結局、あの石の手掛かりは未だ見つからずじまい。
今やっている展示があまりにも好評で。思ったよりもそれに時間を取られることが増え、来客者からの質問回答や子供向けの講座の資料作りに追われ石に専念する時間が取れないのであった。
時間が経つと。その石への情熱は薄れて行ってしまう。
周囲も最初の頃よりも何故か興味を示さなくなり、今は私くらいしかそれを調べる担当はいない。
未発見の物質かもしれないのにどうしていきなり?そう疑問を抱いても。その石を調べれば調べるほど、少しずつ気持ちを傾ける気が削がれるのは事実なのだ。
私が石を拒むなんてこと、有り得ないのに。毎回物質の要素を見たりしても値が日によって違ったり。
誰もいない部屋でいきなりその石が暴れるような音を出したり光ったと怖がる職員もいて、まさかそんな曰くつきの人形ではあるまいしと思う。
博物館と怪談は、実は密接に関係しており。不思議な話は多い。
前を向けてしまったはずなのに出した時は後ろを向いてる人形。魂抜きをしたはずなのに、前を通ると嫌な悪寒がすると言われる仏像と仏壇。
二人以上で入らないと中から笑い声が聞こえると言う資料室
―
私はあまりそういうのに遭ったことはないけど、お守りをいくつも携帯する職員もいる。
誰かが生前ずっと傍で愛用していた絵筆。色々な人間の願いや恨みを吸いとった仏像、とある時代にどういう理由か分からないけど傷を負って発見された若い女性の骨。
そういったものを、博物館と言う箱が保管しているのならば。不思議な力が宿ってもおかしくはないだろう。
しかし石となるとどうもそういう類の話とは違う気がするし。危険な放射性物質でも宿っている石かと思ってもそういった反応はなかった。
「
……
」
石に関する専門書を眺めていても、あの石の事はどこにも書いていない。これも収穫なしか。
小腹が空いていたので一緒に頼んでいたフィナンシェを齧り、苦い冷めかけのブラックコーヒーで流し込む。
何かが何者であるかもわからない状態で終わるのは避けたいけど。どうしてその石を調べようとすると、拒否反応が出てしまうのだろう。
私が石を拒んでるんじゃなくて。石が私を拒んでいるのなら。そういった不思議な類の話の種にしかならない。
(石だって像になれば気持ちを吸い取るって言うし。河原の石は拾って来るなとも言うけど
……
)
あの石、本当に呪術とかそういうのに詳しい部署に引き取ってもらおうかしら。
儀式などで使う面などの収集が主だとは言っても、うちの職場の近くで発見された藁人形に大量の釘と髪の毛が打ち込まれているものを回収して呪術の一種として展示した部署だし。
用途が分からないものを宗教や信仰にすぐ結び付けるなとは言われても。そういうのに使われてもおかしくはない石よね。
その部署の知り合い、今は誰がいるかと考えていると。スマートフォンが振動しメッセージアプリにユイマンからの連絡が届く。
『すぐ降りるから入口で待ってて』
彼女の会社のビルは大きな入口になっており、ゲートは社員専用だがコンビニもあり別の出口にも繋がっている。
そのため、買い物や通り抜けに使う一般人もいる。私もゲートの前に居なければ大丈夫だろう。
ゲートの前には守衛さんも立っているけどゲートから離れていれば怪しまれることはない。
他の一般人も寒さを凌ぐためか、誰かを待っているのだろう、数名ゲートから離れた位置でスマートフォンを触っている。
ユイマンのフロアはゲートを越えた先のエレベータから上がっていった所にあると言うので、エレベータから彼女が出てくるはずだ。
既に退勤した別の社員が何名か籠から出て来るのを見て、今か今かと待っていると。
一つの籠が一階の到着を告げると。ユイマンが出てきた横にーもう一名の女性が隣にいるのが目に入った。
「ユイ
……
」
彼女の名前を呼ぼうとして躊躇ったのは。その女性に見覚えがあり。しかもその見覚えから私の怒りに火がつくのは、瞬時の事であった。
ユイマンはすぐに私に気付き。気まずそうな表情を浮かべ隣の女性に何か話しかけている。
そしてユイマンが守衛さんに何か紙を見せると、恰幅の良い守衛は何かゲートを操作してその女性をゲートのない所から通らせた。
ゆっくりと、扇子を持ったままそこを通る姿。そして遅れて社員証をタッチしてユイマンがゲートをくぐり。
その女性ーいや、その女は。私の方へやってきて口元にある扇子を離した。
「
……
ご無沙汰してます。阿梨夜様」
「なんで
……
なんであんたがここにいる?」
私の目の前にいた女は、私の血縁であり。そうしてユイマンを過去に業務で追い詰めた幹部であった。
「
……
豊姫」
ユイマンから話を聞いたり、マスコミの報道を見る度に。こいつらと同じ血が流れていることを激しく嫌悪した。
私が睨みつけるも相手は涼しい表情で口元は笑っているが。少しだけ足が及び腰になっているのは見逃さない。
「だってこの会社は私の父の子会社だもの。訪問したっておかしくはないですよ」
「散々ユイマンに酷い目に遭わせておいてのうのうと訪問だなんて
……
左遷されたはずなのに」
労働の法律を守らずに酷使した件が明らかになり。マスコミやSNSなどいろいろな方面から騒がれ叩かれ、彼女の勤める会社は炎上したが。
幹部が責任を取って左遷または辞職することで制裁は加わったはずだった。
私はマスコミの一部に情報を渡すなり、家柄故の様々なルートから情報を流した。
幹部はほぼ私の何かしらの血縁であるから、一般人では知り得ない情報でも手に入れることができた。
豊姫は私の父の兄弟の娘である以上。遠い血縁ではなく、小さい頃に親同士の付き合いで何度か顔を合わせたりもしたが。
豊姫以外にも武道を嗜む尊大な態度の妹がいたため、あまり関わろうとは思わなかった。
様子がおかしい私たちを見て守衛さんが何かを呼ぼうとしていたが、ユイマンがそれを阻止するのが見えた。
「誤解のないように言っておくけど。彼女を追い詰めた時の幹部は私じゃない
……
私は後始末から着任したんだから当時の責任までは負えないわよ」
「そんな言い訳で納得するわけ
……
」
掴みかかってはいけないと分かっていても。相変わらず安全な場所で自衛の発言ばかりする態度が気に食わず。
どうして豊姫がユイマンと一緒にいるのかが認めたくなくて再び睨みつける。
「
……
寧ろ死に体の彼女を助けたんだから感謝して欲しいわね」
そう言って豊姫は私を置いて外に出ようとするが。すれ違いざま、私に言葉を残す。
「貴方があの家から逃げた後の事なんて、何もご存じないでしょう?」
「
……
!」
その言葉に、どくんと心臓が嫌な音を上げて躰が震える。言い返せず、そのまま立ち尽くすと。
「阿梨夜、今日は帰りましょう。ここは争う場所じゃないから」
追い付いたユイマンが私の肩の上に手を置き。申し訳なさそうに私を諭すのだった。
続く
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