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sisimi
2026-01-01 23:54:18
1337文字
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炬燵
父×水木
現代まで長生き水木です
ふたりは一緒に暮らしています
冬は炬燵。人は皆その抗い難い魅力に骨抜きにされるのだ。
みかんの皮を剥きながら賑やかな新年の番組を眺める男がひとり。白い髪の男だ。座っていては目立ちにくいが体格が良く、その長躯を丸めてふかふかの綿入れ半纏を羽織り炬燵に入っている。
男は全く興味の無い様子でテレビに目を向けていた。休むことなく夜中まで、途切れることなく何らかの番組が流れ続けるそれを見るともなく見ている。楽しげな声で大人も子供もはしゃいで、人間たちが新しい年を祝っているのを。
「う~! さみぃ
……
」
男がぼんやりとしてみかんを一房ずつ口に放り込んでいると厠へ行っていた同居人が戻ってきた。
「あ゛ー
……
」
戻ってすぐさま炬燵に足を突っ込み、湯に浸かった時のような声を出す。
昔から思っていたがこやつは歳のわりにおっさんくさい仕草をするやつじゃの、と男は思った。
「うぅ、さむ
……
外、雪が降りだしたな」
そう言われて窓の外に目を向ければ白いものがちらついていた。
道理で、今夜は冷えると思うた。存外寒がりなこの男には堪えるのじゃろう。そんなことを考えつつ、寒さに背を震わせている友を眺める。
友は人間の中でも男前な方であると思う。その黒髪と整った顔に覗き込むと分かる深い青の瞳、低く艶のある声、左目を縦に割くように走る古傷もまた男の魅力を引き立てている。
男前な友はうむむ、としかめ面をして足どころか腰、手も肩の方まで炬燵布団の中に入れようとしてもぞもぞ動いている。
「水木、」
寒いのなら暖房の温度を上げてストーブも使えばよいといつも言うが、何の拘りなのか友は暖房の温度はあまり高くしないしたくさん着て炬燵で温まるので十分だと返す。今は火が消えているが友の後ろにはストーブがあるのだ、使えばよいのに。
しかし、火をつけるか、と続けようとした言葉は途中で途切れた。
「ふはっ、お前の足、炬燵の中にあるのに冷てえな」
おかしそうに笑う友の顔に見惚れた。これまで長く一緒に過ごしてきて毎日顔を見ているのに、こうしていつもふとした瞬間に目を奪われる。
「
……
幽霊族は外気にあまり影響を受けん」
「ふぅん、そうだなあ、夏も冷たくて気持ちいいもんなゲゲ郎」
友が男の足を挟むようにして足を擦り付けてくる。触れ合った肌にぞわりと腰へ駆け抜けるのは快楽の兆し。
水木のこういった無邪気に煽るような行動は珍しいものではなく、大抵は子供のような好奇心や無意識、身内に対する無防備さからくるものだ。堪え性の無い若者のようにすぐに反応して求めては年長者としての面目が立たない。
どうせ向こうはその気も無いのだろう。沸き出てきそうな欲に蓋をして、水木の顔からも目を逸らして残っていたみかんを口に放り込んだ。
少し酸っぱいそれを咀嚼していると水木の足先がゆっくりと己の膝に、太股へと上って来るのに気付いた。まさか、と思い友の顔を見れば悪戯っ子のような艶やかなオンナの顔で此方を見ている。
「俺はな、この冷たいのが俺のと混ざって温くなってくのも好きだぜ」
「それは誘っておるのか」
そちらがその気ならば逃がさぬぞ、と確認するように問えば友はにやりと笑った。
「寒いだろ、温めてやるよ」
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