雨鶴
2026-01-01 13:36:26
856文字
Public 小話
 

年じまいの図書室話

不思議な行事を引き継ぐ図書委員会長の話。書庫には色々あるよ。

過日、用具委員会で留三郎の事を色々言った長次だが、実は図書委員会も不思議な物を所蔵し、出来事に遭遇している事は内緒にしている。
毎年毎年、学園が長期休暇に入る一日前。
《火気厳禁・飲食厳禁》の図書室だが、この日だけは別だった。
歴代の図書委員会委員長だけに教えられた行事のひとつ。
後輩たちを帰し、誰もいない図書室に長次は竹籠重バスケットを持ち込んだ。中に入っているのは生米と御神酒。それを容れる器と小さな花台。来る途中、榊も切ってきた。
全てを取り出し、長次は花台の上に並べていく。
供物は全て『書庫の護り人』へ。紙を喰う紙魚を退治し、この書庫にある本すべてを知恵として『木の実』で授けてくれるらしい。それを師走の25日に菓子にして配る。時々木の実じゃない物もあったり、作成するのに難易度が高い物もあったりするので市井の店で購入する委員長もいた。
ちなみに、姿は見た事無いが何かしらの気配は夕刻ひとりで作業をしていると感じるものが長次にはあった。
(『あの』先輩は神様だから、さすがに捕まえられぬと仰っていたが)
逆に捕まえよう等と罰当たりな考えに至るのが恐ろしい。

書庫の奥へ花台を置くと古い冊子を持ち出して、その上に榊を置いた。花台の前に榊を置いた本、その横に空の平皿。
有難うございました。来年も皆をお願い致します」
花台に向かい正座すると深々と礼をした。
不可思議かもしれないが、これが代々受け継がれている。


そして新年を迎え、長次が図書室へ戻ってくると花台の上に合った米も酒も本も全て無くなっていた。代わりに平皿へたくさんのひまわりの種が入っていた。
来年はひまわりの種か。簡単で良かったな、雷蔵」



後日、長次からひまわりの種を渡された雷蔵は「どこが簡単なんですか!?」と聞き返した。

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年末に間に合わなかった話(泣)
毎回これだよ。図書室に不思議な行事ごとが伝わっていればいいなあ、と。
書庫の護り人は蔵ぼっこがイメージです。