ゆいしろ そう
2026-01-01 07:00:00
941文字
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新年 ベク遊


――1月1日、絶好のお出かけ日和――

「むにゃ……誰だよ、窓から侵入してくるのは」
「じゃじゃーん、俺」
「ベクター? 元気だな。外めっちゃ真っ暗なのに」
「遊馬くぅん、急いで着替えてもらっていいですかぁ~?」
「やだよ、それに今何時」
「4時」
「は!? さっき、新年になったばかりだって」
「あけおめ」
「ことよろ……じゃなくて!」
「早くしろや。混む前に行くぞ」

――ほぼほぼ意識のない遊馬の手を引きながら、
電車を乗り継ぐこと3時間――

「あれ、ここどこ? 俺、何してたんだっけ」
「やっと目が覚めたのかよ」

――駅の改札を出ると、道に沿ってたくさんの屋台が並んでいる。
色々な食べ物の匂いが混じって、なかなかにカオスだ――

「何食うの?」
「あとでな。お参りしてから」
「おう! わー、肉焼いてんじゃん」
……聞いてねぇ」

――まだ意識がはっきりしていないのか、
遊馬は大人しく俺とお手手を繋いだまま、歩いている。
鳥居をくぐり、手水で清める――

「うわ、つめてぇ!」
「左手からの右手……
「ベクター、真面目だな」
「そりゃあ、神に挨拶するんだし」

――早朝の本殿付近にそれほど人はいない。
そのせいか、お互い長時間黙って神に祈り続けていた。
参拝後、近くにあった授与所で大量のお守りを買う――

「買い過ぎじゃね?」
「気のせいだろ」
「そんなに何から守ってほしいんだよ」
「よからぬことをしても、許される守りとか」
「ないだろ、そんなの」
「そいつはどうかなぁ。あ、おみくじも引かないとですね!」

――遊馬は予想通り大吉を引いて、嬉しそうにしている。
そして――

「ベクターは?」
……大大吉」
「マジ!? 良かったじゃん!」
「遊馬くん、交換してあげましょうか? ね?」

――おいおい。どう考えても凶が似合う男、ベクター様だろうが。
何やってくれてんだよと思っていたら、遊馬におみくじを覗き込まれる――

「あまてらす?」
「最強の神様」
「すげぇ」
「腹減ったし、飯食うか」
「やったー」

――おみくじは記念に持ち帰ることにした。
そんな感じで、柄でもない初詣が終わった。
遊馬のやつ、肉食ってるときが一番楽しそうだったな――