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零ミリ
2026-01-01 00:00:06
958文字
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ゆく年もくる年も
現パロ むてらんむて 年越しの話
「あっつ!」
藍桐はバターで光るじゃがいもを口に含むと熱さに悲鳴を上げる。はふはふ、と忙しなく冷まそうとする藍桐を横目に无諦はペットボトルの緑茶で喉を潤す。
「子供か、君は」
「ほんほ、あついんらって!」
まだ熱がってる藍桐の言い分を聞きながら无諦はふう、と息を吐く。
大晦日の二十三時半、无諦と藍桐は有名神社に来ていた。「たまには神社で年越ししない!?」という藍桐の提案に无諦は初めは億劫がっていたものの、結局は二人で神社に行くことになった。家で年越し蕎麦を食べてきたものの、屋台の匂いに釣られて藍桐がじゃがバターの屋台に寄って少し人並みを避けたところで時間を潰し始めたところだった。
ぺろりとじゃがバターの皿を平らげた藍桐はいつも部屋でいるように最近あったことを語り出す。博士課程で多忙なのに毎日毎日よく話のタネを見つけてくるな、と无諦は毎日のように感心していた。
カイロを手で包みながら无諦は藍桐の話に相槌を打つ。手袋は今日は持ってきていないのだ。じゃがバターの皿と箸とペットポトルをゴミ箱に捨てて神社の境内をぶらぶらと歩き始める。ぶらぶらといっても人が多い境内ではゆっくりの歩みだ。話しながら境内歩いているとあっという間に日付変更の時が迫る。
あと数分で日付が変わる、となると境内に集まった人々はスマートフォンを見てその時を待つ。无諦たちも参拝の列に並び新年を待つ。
「无諦、もうすぐ新しい年だね!」
「ああ」
「今年も无諦とたくさん過ごせて楽しかったなあ
……
」
提灯の灯りが藍桐の細い目をうっとりと光らせる。藍桐は今年の无諦との思い出に浸り始めた。无諦もその横で今年をゆっくりと振り返り始めた。大きいことも小さいことも一つ一つが愛おしい日々だ。
二人の間に甘い沈黙が降りたのも束の間、周囲がわっと沸いた。年が変わったのだ。
「无諦!」
藍桐はパッと顔を明るくして无諦を見上げる。
「今年も、たくさん一緒に過ごそうね!」
藍桐はコートのポケットの中で温めていた无諦の手をポケットの中でぎゅっと握る。いつもは手袋がないから、とお互い言い訳して冬の道を歩くのだ。言い訳もなく、今すぐ触れ合いたいという藍桐の気持ちに応えるように无諦は正月の夜の空の下、藍桐の指をしっかりと絡め返した。
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