フリンズさんとお部屋でゆっくり過ごす話

※現パロです ご注意下さい

「はーいフリンズさん、そこどいてねー?」
 
 コーヒー二杯をマグカップに淹れて部屋に戻ると、私が先程までいた場所に、なぜかフリンズさんが移動してきている。ほんとになんで?諦めて私が移動すれば良いとも思うのだがそこは元々私の場所だったのだ、と主張してみる。
 
「お戻りですか、ではこちらに」
 そう言って、こたつ布団を捲っているが動く気配はない。
 仕方ないなぁ、とマグカップを机の上に置いて、こたつ布団とフリンズさんの足の間に潜り込む。すぐにお腹に回されてくる腕がくすぐったい。めげずに先程まで使っていたペンとノート、参考書に再度向かい合うが、今度は肩が重い。
「肩に頭乗せないでくださーい。手が動かしにくいですよ」
「構ってもらえないので、僕が勝手に構うことにしました」
「こらこら、来月の資格試験の勉強しててもいいって話は付いたはずでしょ」
……そうでしたっけ」
「わざとらしく忘れた振りするのはやめて下さい」
 
 部屋に二人っきりになると、すぐ猫ちゃんになってしまうフリンズさん。仕方ないので一度ペンを置いて、肩に乗る後頭部を撫でてみる。ふふっと小さく笑う声が耳元で聞こえる。
「満足しました?」
「えぇ、多少はですが」
 肩からは離れてくれたので手近にあった彼の読みかけの本と、淹れて来たコーヒーを渡す。素直に受け取ってくれたので、よしとする。少しすると背後からページを捲る音が聞こえる。心地よいBGMになりそう。私も、もう一度目の前のお勉強に向き合うことにしよう。
 
 
 ***
 
 
 ………あれ?
 
 いつの間にか机に伏して寝ていたらしい。これがこたつの魔力と背中の温かさ、か。
 ふと後ろを見ると、フリンズさんも寝ている?ように見える。背後に置いてあったクッションに身を任せており、読んでいた本は胸元に落ちている。
 ――いいことを思いついた。
 こたつ机に置いていたスマホにゆっくり手を伸ばし、なるべく動かないように後ろを振り返る。カメラを起動して、『パシャッ』と小さく音が鳴る。えへ、宝物が増えましたね。
 
――面白いことをしてます、ね?」
「ひゃあ!」
 
 私の心臓が飛び跳ねた。本当に、突然耳元で良い声で喋るのはやめて欲しい。
「起きたなら声掛けてくださいよ!」
「楽しそうだったので、つい」
「つい、じゃないですよ
 彼は口元に手を当ててクスクス笑っている。顔が良いので許してしまうのは惚れた弱みかな。
 
「ちなみに、」と言いながら、フリンズさんもスマホを取り出して少し操作し、画面を私に見せてくる。
「僕も同じことしてましたので、おあいこですね」
……!? 寝顔撮られてる!」
「えぇ、はい」
 こたつ机に突っ伏してマヌケ面してる自分を見るのは、なんとも……恥ずかしいな。自分も同じことしていた手前、消してくれ!とは言えないのでしてやられた気分である。ジト目で抗議だけしておいた。
 
 
 予定より進んでいない参考書を読み解きながら唸っていると、「はいどうぞ」とフリンズさんが剥いてくれたミカン一粒が差し出される。無言のままパクッと食べると、なぜか彼が楽しそうにしていて、二個目も差し出されてくる。餌付けされている小鳥の気分になった。
 たまには、こんなお休みも良いよね。
 
 
 
『なにも してない おやすみ の ひ』