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望月 鏡翠
2025-12-31 00:42:16
1107文字
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日課
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#1950 ディルストーン居城にて15
#毎日最低800文字のSSを書く/我らが王の身罷りて 二次創作
衝撃的な事件は挟んだが、ともあれトルガはジョアンを一度執務室に読んだ。
ディルストーンでの話を伝えるためだ。
不埒なことを企んでいたし互いに理解できない相手だが、結局彼はこの家の家令なのである。
家のことを取り仕切るのに、彼の手を借りずに成し遂げることはあり得ない。
「お前たちがご不満だった港の施策をエサにして、海沿いに砦を築く許可を得てきたぞ」
「港の施策
……
?」
忘れていたわけではないだろうが、それと海沿いの砦が結びつかなかったらしい。ディルストーンに阿る効果もあっただろうが、それを名目に監視を強めるというのがトルガの主たる目的だった。
話がまとまる前だったから教えなかったが、もう明かしても構わないだろう。
「そのためにあんなことを」
「船で兵を運んでくることはできても、砦はすぐには作れないだろう」
兵とて呼んですぐに来るわけではないが、海はリュネストの命綱だ。最優先で守る必要がある。それに必要な砦を、監視のためだと言い訳をつけて、大っぴらに建設を進めることができる。
「人足を手配しておきます」
ジョアンは頷く。場所は、後ほど地図がある場所で打ち合わせれば良い。
「ディルストーンから石材を買い付けておいたから、受領の手配もしておいてくれ」
「わかりました。他にはありますか」
「あとは手紙を用意してくれ。公用書式のな」
「また謀を?」
「またってなんだ、人聞きが悪いな。本国に手紙を書く」
これが謀だというのなら、政治の場面で行われることは全て謀だ。
「レシーに?」
「我が国の女預言者たちを受け入れてくれるらしい」
驚きと共に、ジョアンの視線が鋭くなった。
「
……
なぜ」
その質問は尤もだし、ここで手を挙げて喜ばなかったことで、彼に対する信頼は少しだけ増した。
「俺の手腕、と言いたいところだが、そこまで事態を楽観できない。ディルストーンの思惑を知るために必要な情報を集めたい」
「なるほど
……
」
ジョアンは考え込んだ。彼も彼の知るバンデイアの内情を思い返して可能性を考えているのだろう。
「他の家への探りですね。こちらにも何人か入り込んできていますが、問題がない範囲だったのでそのままにしています。存在を把握できた方が、やりやすいかと思いまして」
「よし、それでいい。急ぎの共有事項は、これくらいだ。そちらから確認することはあるか」
「急ぎのものはありません。お休みになってからで良いかと」
トルガの感じている疲労を見抜いているようだった。
「くれぐれも、自室にておやすみになってください」
脱走を封じるように、ジョアンは言い添えると執務室を出て行った。
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