木ノ葉から少し離れた山奥にサクラは来ていた。うっそうと生い茂る木々を抜けると少し開けた場所に出る。草木の風に靡く音と共に独特な薬草の匂いが鼻腔をくすぐる。お目当てのものは今年も変わらず群生しているらしい。サクラはあたりを見渡して小さいく気合を入れた。本日の目的はここら辺一帯にしか群生しない薬草採取。一見下忍が請け負る任務内容だが目的の薬草の見た目が非常に判りにくいのと採取方法が特殊なため中忍以上が請け負うことになっている。サクラの場合、綱手の修行の一環として下忍時代から度々中忍に交じって参加していたので勝手知ったるわけだが、今回はサクラ一人での任務となっていた。人員不足とサクラの気晴らしを兼ねて綱手が気を使っての結果だ。ナルトが修行から帰ってきて新生7班としてサスケ奪還任務に
赴いたのが数瞬間前。結果は言わずもがな。すぐにでもサスケへの手がかりとして任務に赴きたいが如何せん大蛇丸の情報も暁の情報も無い状態で闇雲に動いても骨折り損のくたびれ儲けと情報が入るまでの一時サスケへ届くために各々過ごしていた。目当ての薬草は、止血効果もあるがある特定の毒の解毒薬にもなる希少価値の高いものだが採取した瞬間から効能を落ちていき毒草となり替わる。そうならないためにも採取する前にチャクラを流し鮮度を保ったまま採取しなければいけない。薬草の構造を壊さぬように微細なチャクラコントロールを必要とする気晴らしと実用を兼ねた今のサクラにお誂え向きの任務だ。
薬草採取の時に一つの場所から多くとってはいけない。生態系を崩すのを防ぐためだ。なので、サクラは移動しながら目当ての分を採取していく。チャクラを流し、採取、流し、採取を繰り返し無心で作業に当たる。少しでも考える時間があると思い出してしまう。二年ぶりに会ったサスケの姿が浮かんでは消えていく。そして手も足も出なかった自分の姿。目的の為なら己の命すら瑣末に扱うサスケにサクラは何も言えなかった。そもそも最初の邂逅以降視界に入ってもいないだろう。サスケにとってサクラはその辺の石ころ……よりは存在感があるだろうがナルトの前では消し飛ぶ程度の存在だ。昔からあの二人の中にはいつもはいれずに蚊帳の外。この二年で変わった気になっていたサクラは己を酷く恥じた。
粗方取り終え腰に手を当て反る様に伸びをする。移動のために立ったりしていたが基本しゃがみっぱなしで身体の血流が滞っていたのを実感した。辺りを見渡すと見慣れない景色。集中しすぎていつもの採取場より遠くまで来てしまったようだ。少し離れるだけで随分と雰囲気が変わる。木々の揺れる音とそれと連動する木漏れ日に目を細め新鮮な空気を肺に目いっぱい取り込む。少しでもこの鬱屈とした胸の裡を少しでも軽くなればいいのに。最後に軽く伸びをして帰ろうと足を踏み出した瞬間、揺れる視界。コントロールを失った四肢。咄嗟の事に受け身すら取れずに倒れこむ身体。ズッシャと鈍い音が響く。
敵襲? いやそんな気配は一切なかった。じゃあ、なんで?
サクラは不鮮明になっていく視界で原因を探る様に視線を周囲に向ける。辛うじて認識できる小さい青い花。草木に隠れる様に咲くその花は倒れなければ見つけることは困難だった。原因に気づいたサクラは胸の裡で舌を打つ。このままここにいては悪化の一途を辿るだけだが残念なことに気づくのが遅かった。麻痺したかのように身体がいうことを聞かない。瞼も重くなっていき薄れゆく視界の中でサクラはサスケの事を思い浮かべた。
※※※
最初に戻ったのは聴覚だった
小川の流れる音で先ほどいた場所から離れているのがわかった。改めてサクラは心のうちで臍を噛んだ。
意識が失う前に観たあの小さな青い花。綱手の秘蔵書の中で読んだ物の中に記載されてた物だ。だいぶ前に絶滅したと書かれていたが細々と生態系を維持していらしい。その花粉には意識混濁、幻覚作用を引き起こす物質が含まれる。しかし花自体が小さく視界に入りにくい事と少しの刺激で広い範囲に花粉が舞うが無臭であるため気づいたら花の花粉に意識を奪われる。この花の特徴はそれだけだはなく、意識を失った後の行動が人によって異なる。そのまま動けずに花粉を吸い続け意識を失い続けるそのまま死に至るか、幻覚作用にって錯乱し自傷行為を行う者をいれば、夢遊病患者のように徘徊する者もいる。
サクラは徘徊しここにきたのかと思ったがその割には四肢のコントロールがまだいうことを効かない。四肢の麻痺などは書物には記載されていなかったが絶滅した種のため記載漏れがあったか、生存のために進化した結果なのかサクラには判断できない。しかし徘徊と麻痺は矛盾するため別の誰かがここまでサクラを連れてきたかはたまたこの現状すらも幻覚で現実のサクラはいまだあの場所であの毒草を吸い続けているのかなど様々な考えが脳内を巡る。思考できるだけの意識が戻ったのは御の字だ。今の状態が幻覚からくるものなのかわからないがこれは明晰夢に近い状態なのかもしれない。
ひやり
冷たいものが頬を撫でた。
この後サスケがサクラを介護する流れになります。
口移しで水飲ませたりとかサクラちゃんの髪を梳くとか
サクラは薬草の影響でみえる幻覚だと思ってサスケに接するので本来なら言わないようなことを言ったり言わなかったりその言動に過去のサスケを求めるサクラに苛立ち昔の自分はいないと知らしめるために酷く接しようとしたり
夢かと思ったサクラちゃんの首元にキスマークがあってあれは夢じゃないの?って感じの終わりを考えてました
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