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でがらし
2025-12-30 15:28:41
1491文字
Public
【吸死】ドラヒナ~全年齢~
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【ドラヒナ】本日のクッキーの形は?
フォロワーさんとの会話で降ってきたドラヒナのSS。所謂Yes No枕の概念がクッキーだったらこんな風になるのかな?というお話です。描写はないので全年齢で。
初出:2023年9月11日
「来たぞ、ドラルク! 監視の時間だ」
依頼人も来ずのどかな時が流れるロナルド吸血鬼退治事務所。その床下が今日も元気よく開くと、デスクでうたた寝していたロナルド君の体勢がガクッと崩れた。おやそんなに怖い顔で睨まないでくれロナルド君、まだゲラゲラ笑っていないというのに。さっきまであんなにぼんやりしてたのに、なんで拳の反射はそんなに早いのかね? 砂から復活した肩をくすめ、事務所に這い出てきたヒナイチ君を見る。うん、今日も輝く白い隊服と艶のある赤い髪で健康そのもの、大変宜しい。そしておでこの辺りの毛はぴょこんとハートマークになっていることに、まだ本人だけ気づいてない。
「やあいらっしゃい。グッドタイミングだね、今日のクッキーが丁度出来たところだ」
「いただこう!」
甘く香ばしい香りに出迎えられ、いそいそとした足取りでこちらへやってくるヒナイチ君。その様子はまるで漁港の猫のように警戒心がない。アルコールティッシュを差し出せば何の疑問も抱かずに受け取ってその白い指を拭う。
「さあ、今日はどのクッキーからかな?」
ヒナイチ君に微笑んで見せる。並べられているのは何の変哲もない型抜きクッキー。ギンガムチェック、丸型、そして星型。私が作った、彼女の大好きな一品。なのになぜだろう、ヒナイチ君は乾いてきたティッシュを指先で弄りなかなかクッキーに手を伸ばさない。まあ理由は分かっているけどね。
「きょ、今日は
……
」
「ゆっくり考えて。今日のヒナイチ君の気分はどれかな?」
瞬殺で食べてくれる様もいいけれど、こうやって悩んでくれるのも可愛いなぁ。二ヤついていると、ロナルド君が大あくびをしながら「俺にも一枚くれ」とのんきに手を伸ばしてきた。片手であしらいながら愛しのハムスターの観察を続ける。
「こら、お行儀が悪いぞ。これはヒナイチ君用だ、せめて最初の一枚は彼女が食べてからだろう。あ~これだから五歳児君は! 君には後でセロリクッキーでも焼いてあげよう、セロリ含有率百パーセントだ」
「うるっせぇ殺す! それクッキーじゃなくてセロリの丸焼きじゃねえか殺す!」
刹那のうちにざらついた身体。そんなやりとりを見ていたヒナイチ君は呆れたような、でも楽しそうな表情を浮かべた。手が皿に伸び、星型のクッキーに触れる。ふふ、そんな気はしてたよ。今日はこの後非番なんだもんね。
「いただきます」
「召し上がれ」
さくさくした星を味わい、ぴょこぴょこと髪の毛で喜びを表現するヒナイチ君。すぐに他のクッキーにも手を伸ばし、口いっぱいに頬張り始める。君は一度素直になってしまうとあっけなく甘くなるね。肌の温度が僅かに上がったこと、私が見逃すわけないんだから。
「今日も美味しいぞ、ドラルク!」
「
……
それは良かった」
「なぁ俺も貰っていいか、ヒナイチ」
「ああ、でも半分までな!」
「そんなには食わねぇよ、この後ギルドで食う予定だし」
ひょいと丸と四角のクッキーを摘んで口に放り込んだロナルド君は伸びをしてデスクに戻った。少し集中力が戻ったらしくカタカタとキーボードをたたく音が聴こえる。綺麗に並んでいたクッキーはもうヒナイチ君のお腹の中だ。そして想いを込めた星も、彼女の中にある。
「さあて、私は夜食の準備でもしようかな?」
「じゃ、じゃあ
……
私は床下で報告書を書いている」
我々の言葉に生返事で返すロナルド君。頬を染め床下に潜るヒナイチ君と、それを見て笑う私。ロナルド君が出かけるまで、そして私たちの床下での情事が始まるまで、束の間の平和な夜は更けていく。
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