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でがらし
2025-12-30 15:23:14
1027文字
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【吸死】ドラヒナ~季節のお話~
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【ドラヒナ】幾星霜の月を君と
XX年後、ヒナイチが転化した先のドラルク誕生日SS。こんな風に愛し合う二人の吸血鬼を見てみたいな。
初出:2023年11月28日
「ドラルク。
……
今日の月はすごく綺麗だな!」
「うん、あんなに大きくて丸い月は久々だ。完全無欠のジョンの丸さに勝るとも劣らない」
しんと静かな夜、二人で広い空を眺める。ヒナイチ君の手は、私と同じくらいに冷たくも温かい。
「それに、お前の焼くバタークッキーにも似ているな。
……
なあ、ドラルク」
「『家に帰ったら一緒に焼かないか?』
……
でしょ」
「ちん! なんで分かったんだ!?」
「ヒナイチ君が何食べたいかなんてお見通しだよ、テレパシーが無くたってそのアンテナが教えてくれるんだもの。
……
にしても、その口癖無くならないねぇ」
「うぅ、どうしてだろうな
……
他のものには耐性があるのに
……
」
アンテナと一緒に項垂れる様子にくすくす笑っていると、ヒナイチ君が押し黙る。ちょっと笑いすぎちゃったかな? 少し反省し彼女を見上げると、少しだけ緊張した様子で彼女が呟く。
「本当に綺麗だな、月」
「
……
死んでもいいくらいに?」
「
……
死ぬのが勿体ないくらいに。行くぞ、ドラルク」
ヒナイチ君に抱かれたまま、ぐんと身体が浮上する。冷たい夜風に吹かれ、ヒナイチ君の髪の毛が闇に煌めく。掴めてしまうのではと錯覚するくらいに月との距離が近づいていく。
「
…………
愛してる」
「あ、飛んでるどさくさに言うのはズルいぞヒナイチ君! ちゃんと目を見て言って!」
「さ、さっきも色んな形で言っただろう!」
「だーめ! 今年の誕生日プレゼントのリクエストなんだから、一言一句変えずに『愛してる』って言って!」
「ダメだ、月でも見ながらなら言えるかと思ったがやっぱり恥ずかしい!」
「ヒナイチ君だって二百歳超えたでしょ、いつまでピュアピュアなの!
……
もう、そんなところも可愛いけど」
「息をするように口説くな! 落とすぞ!」
「やめて流石にこの高さだと纏まり切れない! 君の飛行能力でこのシチュエーション叶ってるんだから!」
「この力はお腹が空くんだぞ
……
後で絶対クッキー焼いてもらうからな!」
真っ赤な顔のヒナイチ君。その瞳は、私と同じ永遠を生きることを選んだ色に染まっていた。
けれども、その表情は初めて出会った時と変わらない。色んな表情を見せてくれる、私だけの月だ。
「誕生日おめでとう、ドラルク。
……
愛してる、ぞ」
「
……
ありがとう、ヒナイチ君。最高のプレゼントだ」
誰もいない空の果てで、私たちは口づけを交わす。幾千の時をこれからも超える約束を胸に。
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