望月 鏡翠
2025-12-29 23:22:56
953文字
Public 日課
 

#1948 ディルストーン居城にて13

#毎日最低800文字のSSを書く/我らが王の身罷りて 二次創作

 今回リュネストに有利な条件を飲んだのは、ディルストーンの味方を増やすために違いないが、その動きはオーキに替わる忠臣を探している、という可能性はあるのだろうか。
 いざとなればディルストーンからの寵愛を餌にオーキとリュネストを争わせて残った方を味方に引き込むつもりでいるのか。
 それをするなら、王家としての威信が残っているうちにやるしかない。戦が始まって立場が危うくなってからでは自分のために戦ったら誉めて遣わすなどといっても、惨めな命乞いにしか見えない。
 全ては推測でしかないが、否定するためにも各地の情報網を強化しておくに越したことはない。
 少なくともこれでリュネストはディルストーンに対して行われる暗殺や襲撃に足して、自国の重要人物を巻き込まれるリスクを負うことになった。
 他国とディルストーンの関係にも無関心ではいられない。
 自分たちと関係ないところで勝手に殺し合い、疲弊してくれれば玉座を取りやすいというのはどこの国も同じだろう。
(いや、アンタイアーはそんなことは考えていないかもしれないが)
 特に血を好む部族だからむしろ一番槍として名乗りをあげたいくらいかもしれない。彼らに好敵手と思われないことを祈るばかりだ。
 リュネストが真に手を組むべき相手は、ディルストーンではない。玉座を相争う相手の代わりに、戦場に立つ義理はない。
 それでも足場を固めるために尻尾を振らずにはいられないというのが、内情である。
 サンドリエイルもディルストーンも、そしてオーキも、古い血統を重視する貴族社会だ。外国勢力のリュネストと手を組みたいと思うのは、もう少し足元が燃えてからだろう。
 一番可能性があるのは、彼らからみて同じく外様であるアンタイアーであると思っていた。彼らがどこかに戦を仕掛けることがあるのなら、支援することも辞さない。
 しかし、今手を組めば他の三家が止めにかかってくるだろうし、なによりアンタイアー自体が、まだ団結していない。
 彼らを纏める家がなければ、そこはただの少数の部族がより集まった素朴な大地でしかないのだ。
 荒野を統べる指導者でも現れてくれればいいのだが。
 彼らの文化や信仰をほとんど理解していないというのも、同盟を組みたいと思っているなら問題だった。