天の川で君とーΔドラヒナ七夕パロー
ここは天帝カズサが支配する天の国。その中心に流れる天の川のほとりを、一組の夫婦が仲睦まじい様子で歩いています。赤い羽衣を身に纏う乙女は、織姫と称されるほど機織りが得意な、カズサの妹ヒナイチ。その隣にいる白い衣を着た瘦せぎすの男の名前はドラルク。悪鬼悪霊とアルマジロを飼い慣らし、天の国の治安維持に携わる勤勉な人物です。
「いつも寂しい思いをさせてごめんね、ヒナイチ君」
「忙しいのは分かっているから大丈夫だ。たしか白玉楼も見回っているのだろう?」
しょんぼりしているドラルクに対して、ヒナイチは笑みを浮かべて索餅を頬張ります。寂しかったという気持ちが無いわけではありませんが、それ以上に今ドラルクに会えたこと、そして彼が作ってくれる菓子の美味しさに、彼女の心は幸福で満たされていました。サクサクと菓子を食べる新妻を覗き込み、夫は微笑みます。
「おっと、口の端に付いてるよ」
水滴が落ちるような静かな音と共に、ドラルクはヒナイチの唇に口づけをします。途端に衣と同じ紅色に染まるヒナイチの顔。その姿を見るだけでこの後の労働も頑張れると、ドラルクの金色の瞳は星のように煌くのでした。
床下の白うさぎは鼻が効く@第四巻第三十七死
タイルにヒビが入るほどの勢いで、「監視に来たぞ、いい匂いがする!」と床からヒナイチ君が顔を出す。ロナルド君は未だに敷金がなんだと怒っているけれど、もうこの光景にもすっかり慣れた。ゲームをしながら、机に並べられた菓子を指差す。
「ああきっとこのお菓子だよ。この間製菓工場でアルバイトをしてね、そこから送ってきてもらったんだ。ロナルド君クッキーに吸血鬼サブレ、きなこボールもあるぞ」
わくわくした表情で近づくヒナイチ君。しかしいざ菓子を前にすると、怪訝そうな顔で首を傾げた。
「さっきの匂いと違う
……さては何か隠しているな? よし、こういう時は
……」
目を閉じて事務所をゆっくりと歩き回るヒナイチ君は、警察犬のように鼻を鳴らしながらじりじりと近づいてきた。香りの正体に一足早く気づいた私は忍び笑いをして待つ。
「よし
……そこだ!
……ち、」
「正解は、クッキーと一緒に焼かれた私自身だよ。まだ匂いが薄っすら残っていたんだ
……Eat me、なんてね?」
「ちーん!」と鳴き声を一つ残し、床下へと飛び込んでしまったヒナイチ君。そんな可愛い白うさぎを穴から誘い出すため、私はいつも通りクッキーを焼く準備を始めた。
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