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望月 鏡翠
2025-12-29 01:33:38
928文字
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日課
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#1946 ディルストーン居城にて11
#毎日最低800文字のSSを書く/我らが王の身罷りて 二次創作
信仰は国を支える支柱の一つだ。教会が方針を一つ変えるだけでも、民は惑う。簡単に首を縦には振らないだろう。それはトルガもわかっている。
「異なる信仰を持った民は我らだけではないでしょう」
バンデイアの中には、他にも異なる信仰を持つリュネストよりも古くからこの地に住まう民がいる。
勇猛なるアンタイアーの氏族だ。主に山間に拠点を構える彼らは、特定の家を主といただき領地を有する貴族ではない。五名家の一つとして、勢力図に加わっているが、その実態は複数の部族の集まりである。その中で最も有力な部族、あるいは最も話が通じる部族が、代表として玉座に座った者と交渉に来る。
それぞれの家が一枚岩にならないこととは、また違った理由で、
彼らは自分たちの信仰を捨てない。血を好む神と勇猛な性質はいつだって時の王家の悩みの種だ。
信仰の違いはときに戦となる。
「対外的に、ディルストーンには異なる神を信ずるものを受け入れる用意があると、他の家よりも先に示すことができます。そして反対派には、レシーを国内に引き入れる動きはサンドリエイルの傭兵団が作り、その対策をとっただけなのだと言い訳も立つでしょう」
それに女司祭たちを迎え入れることを勧めた理由はもう一つある。この国で女の発言力は大きくない。信仰とともに入り込んできた彼らが、この国で政治の中枢に潜り込んできて、声を大きくする心配をしなくとも良いのだ。
トルガの故郷とて、女性の地位が必ずしも高いわけではない。女が尊ばれるのは、宗教の文脈に限っての話だ。
女の持つ神秘や神と通じる精神が尊いのであって、なんの力も持たぬ女はただの女だ。
ディルストーンにトルガの提案を飲む必要はない。ただもし言った通りの懸案事項を抱えていたのなら、検討するくらいはしてくれるはずだ。常にカードの一つにこちらに都合のいいものを混ぜ、根回しを続けていれば、いつか気まぐれに手に取られることもあるだろう。
「ふん、油断ならん男だ」
執政は鼻を鳴らす。
「褒め言葉として受け取っておきましょう」
にっこりと、トルガは微笑んだ。
そして会食ののち、ディルストーンはリュネストの女性預言者たちを受け入れることが決まった。
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