浜辺をフリンズさんとお散歩する話


「お、これはなんか良さそうじゃない?」
「良いものを見つけましたね」
 
 今日はスターダストビーチまで足を伸ばして海岸沿いを歩く予定がある、とフリンズに伝えたところ、彼も付いてくると言ってきた。たまにではあるが何度も向かっている場所なので、危険はないと言っても付いてくるらしい。相変わらず過保護だなぁ……とは思ったが、それはそれで嬉しいのでそれ以上の言葉は飲み込むことにした。
 
 お出かけのお目当ては、海岸に打ち上げられた貝殻やシーガラスなどの『綺麗なお宝』である。到着してすぐに形の良い貝殻を一つ見つけることができてホクホクした。これらを拾い集めて、家で工作に使うのだ。
 フリンズはフリンズで、ボーンクラフトの材料を探すみたいだ。なるほど、私の護衛だけではなく目的があったのであれば、少しはこちらの気も楽になると言うものである。
「なにかいい材料見つけたら教えてね。こっちも骨?を探してみるから」
「それも良さそうですね、手分けしてみましょうか」
 ――と別れたはずなのだが。
 
「ねぇフリンズ、」
「はい」
「なんで付いてくるの……?」
 付かず離れずで三歩ほど後ろをずっと付いてくる。気になって仕方ないんですけど。
「そうですか?僕もこちらを探したいと思って、気の向くままに歩いてるだけですよ」
 両手を後ろに組んで歩いている彼は、穏やかに微笑みながらそんなことを言う。手分けする、とは何だったのか……
 手元に用意していた透明な袋には、いくつか気に入った綺麗な貝殻や鉱石のカケラ、シーガラスなどを集められた。……うーん、骨は無いなぁ。本当に見つかることあるの?
 
 ついでにこの周辺に多くあるホワイトベリーも摘んで帰ろうと思い立って、海岸を少し離れる。持ってきていた二つ目の袋を広げて、目に入ったホワイトベリーを集めて行く。相変わらずフリンズは少し後ろを付いてきているようだ。振り返って確認すらしていないが、まぁ……居るのは気配で分かるからね。
 ふと見上げた丘の上にもホワイトベリーを見つけ、少し手を伸ばす。うーん、もう少しだけ背丈が足りないようだ。回り込んで丘を登ればいいのだが、今日はちょうど良い『手』がある。
 
「フリンズ、」あれ取ってよ――と伝えるまでもなく、すぐ後ろから手が伸びてきた。
「はい、どうぞ」と差し出されるホワイトベリー。言わなくても伝わるぐらいには、ずーっと見られてたんだなぁと思うと……少し面白くなってしまって、クスクスと笑ってしまう。
「なにか、おかしい点でも?」
「ううんふふっちょっといやでもやっぱり、フリンズが面白かったから」
……ふむ」
 フリンズは納得ができない様子で首を傾げており、それを見て更に笑ってしまった。
 
 ひとしきり笑った後に、次のベリーでも探そうと移動しようとしたところで名前を呼ばれ、「少しお待ちを」と声をかけられる。
「何、どうしたの?」
「こちらのベリーの近くに、これがありました」
 そう言って彼が手にしたのは、動物の骨の束のようだった。今日の彼の『お目当て』に当たるものじゃないか。
 
「骨、ホントに見つけられることもあるんだね」
「はい、お手柄ですね」
 
 そう言ってフリンズは私の頭を撫でた。その姿は、たまに夜明かしの墓に来る犬と同じ扱いのようで――
「フリンズ、……私は別に君の『助手』ではないんだけど?」
「ふふっ……えぇ勿論、そんなことは分かっていますよ」
「ほんとかなぁ……
 
 お互いの目的を達成できたということで、あとは家に帰るだけだね。
「明日はツインベリーロールでも作ろうかな。フリンズも少しは食べる?」
「勿論ですよ。あなたの作った食事であれば、どんなものでも。楽しみにしていますね」
 フリンズならそう言ってくれると思ってた。
 
 手を差し出されたので手荷物を渡してみたら、フリンズに不満そうな顔をされた。何やら間違えたらしいので、私の手を乗せてみたら満足そうに笑った。正解できたみたい。
 
 
 
『今日も明日も、予定は貴方と一緒なので』