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幸希(ユキ)
2025-12-27 11:17:10
1882文字
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掌中の珠
むっちゃん視点。心の声ばっかり。
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「それがわしの守りたい景色。わしの物語じゃ!」
本丸、仲間の危機で発したそれ。他意はなかった。紛れもない本心じゃった。その言葉を機械越しに聞いた主。それから主のわしへの好意が始まった。
(まっこと、もったいない事しちょった。)
主として大事にはしちょったけんど、女としては気がなかったき、随分つれなくあしらった。冷たい態度すら取った。それでもめげん主に感心を覚えた。毎日毎日、1ミリも変わらず好意を口にして傍を陣取る主の姿を当たり前のように見ちょった。
けんどそれも、『むっちゃんに見合う人間になりたい』と動き出した主を見ていたら少しずつ気持ちが変わっていった。
(あの時は
……
わしへの恋慕のために主人が動くっちゅう優越感があった。わしだけに見せちょった動きやったきに。
…
けだ、あれが哀しく見えたのは
……
主がネガティブ脱却した時じゃったか。)
晴れやかな顔をして、重いものを脱ぎ去ったように明るい表情をした主。「過去はいらない」と口にしたのを聞いた瞬間、堪らなくなった。
(あの子の過去すら含めて本丸の物語。それを守りたかった。守っていきたかった。なのにそれを、わしは捨てさせた。)
守りたくて修行にまで行ったに、肝心のそれを蔑ろにしてしまった。捨てさせてしまった。
(あん時は酷う後悔したねや
…
。何を本末転倒しゆうと
…
。どういたらえいか、ぐるぐる考えたのう。)
前に前にと進もうとする主。進むごとに主が厭う過去は捨てられていく。振り返りもせず、積み上げたものを崩して自分を否定する様が、哀しかった。否定せんでくれと抱き締めたくなった。おまさんの過去を愛しゆう者がここにおると叫びたくなった。
(そこまで来て、ようやっとわしも主への好意に気付いたんじゃったな
…
。)
これ以上壊させとうなかった。大事にしとうて、愛しとうて、好きなんじゃと分かって欲しかった。応える事への覚悟も決めた。
ネガティブなおまさんも大好きじゃ。
わしはおまさんの傍におる。
有象無象の言葉を信じるよりわしを信じとうせ。
誰かを想って優しく心を傾けるおまさんが一等大切なんじゃ。
甘えるのが苦手なところもこじゃんと可愛い。
おまさんがおまさん自身を嫌いでも、わしはおまさんの全部が大事じゃ。大好きなんじゃ。
(愛しちゅうよ、わしの可愛いおまさん。)
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