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ortensia
2025-12-26 20:58:49
1199文字
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傭リ
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謎時空の傭リ
なんかもうどうでもよくなった。
人のために金を稼ごうとして殺めているのが同じ人だと気付くのに、自分でも間抜けな程時間が掛かった。身を危険に晒してんのに大した額が稼げないってフリーの傭兵になって初めて身方を殺めた。否、フリーの仕事の上では彼らは敵だったのだ。それで稼いだ金額は、本当に彼らの命の重さに見合うものなのか。人を殺すのに使った金が、人を生かすのにも使われるのに。金自体に意味がないことを痛感したよ。
だけどここで一人で死んでも、それにも意味はない。誰かに殺されないと、誰の金にもならないからだ。
でもそんなことさえ考えるのが億劫になった。もうどうでもいい。
終わった任務の報告と金の振り込みをしたためて、書いた手紙を懐にしまう。いわゆる遺書になるのかな。これで良い。もうやり残したことはない。風が霧を運んで来る。
ここで一人で死んでしまおうか。
「ここで何を?」
声に驚いて振り返ると、一人の大男が立っていた。否、背は高いが痩躯で、大男とは言えないかもしれない。
そんな奇妙な男は、紳士風に佇んでいるのに、何処かであどけなく、こちらをじっと見下ろしている。
「どなたか殺めるのですか?」
そして自然とこちらが持ったままの凶器も目に入り、冗談か本気なのか分からない調子でそう訊ねて来る。
「いや、もう終わった。」
その声色に感化されてしまって、つい正直に答える。
「なら、もう殺めないのですね?」
はっとした。こちらの答えを素直に聞いた男がそう言うのに、そうか、そう言うことになるのなら、おれはおれを殺せないのか。
「ここで一人なんですね?」
「そうだな。」
「でも今はわたしがいますね?」
「そうだな。」
知らないうちに近くに立っていた男は、知らない間にもっと距離を縮められていた。
「ここできすして?」
思わず目が丸くなる。そして気付くのは、男に手を伸ばそうとしていた自分にだ。何を。この男を自分はどうしようと言うのか自分は。
「
……
どうして。」
「ここは他に誰もいなくて、良いところだと思って。」
だから、きすするにはぴったりだって。そんな馬鹿な。
それで伸ばし掛けた手をもっと伸ばした自分はもっと馬鹿だ。
素直に屈む男がいっそ恐ろしいと思うのに、吐息が震える程気持ちが急くようだった。
重ねた筈の唇は歪な感触をこちらに届け、なのに違和感よりも未知への興奮が勝った。
男が屈めた背を戻し、口が、顔が、男の全てが自分から離れて行くことに、なんだか地団駄を踏んで抵抗したい気分が起こった。
「また殺しに来てください。」
けれど分かっていた。たぶんまたこの男をこの腕の中に囲うためには、またこの戦場に来なければならない。
そして自分一人で受けた任務を、自分一人で生き残らなければならないのだ。誰が相手でも。だが、もう仲間に刃を向けることはしない。
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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。
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