asaumi
2025-12-26 06:33:01
5890文字
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しのぶちゃんに他の男の影に嫉妬する童磨が書きたい(R18)

お題「どんな手を使ってでも手に入れたい童貞の攻め」と「絶対にモノにされたくない非処女」を『三回セックスしないと出られない部屋』入れる

部屋のドアを鉄パイプでぶん殴った。

「うわーっ」わざとらしいくらいに声をあげる。「しのぶちゃんって頭が良いし理性的に見えるけど、意外と感情的だよね!」
男が楽しそうにケラケラ笑いながら言う。何が面白いのか私にはさっぱり分からない。

どうしてこんなことになったのか。
地獄のような激務の平日が終わり、待ち望んだ花の金曜日の夜だった。開放感で胸をいっぱいにして職場から出た途端に目の前が真っ暗になり、そして次に目を開けた時には見知らぬ部屋に自称ハッピーアドバイザー、通称詐欺師、別名ストーカーである男と一緒に閉じ込められている。悪夢なら今すぐ覚めて欲しい。今日は十三日の金曜日ではないだろう。

部屋にドアはひとつだけ。今、必死にタコ殴りにしているやつだ。かれこれずっと、そう広くはない空間に殴打音が響く。
部屋の大部分はキングサイズのベッドが占めている。目覚めてすぐに目についた、新品であろう純白の寝具の上に置かれていた直型の鉄パイプは明らかに異様だった。それでドアを壊せと言わんばかりだから、遠慮なく使っている。
壁は無機質なコンクリートが剥き出しになっており、天井の間接照明以外の装飾品は何もない。
あとはドアの上に大きく書いてある一文だけ『三回セックスしないと出られない部屋』とたる。
田舎の高速道路沿いに建つラブホテルの名前の方がまだ雰囲気がある。
いや、この男と二人っきりで閉じ込められている以上、五つ星ホテルの高級スイートルームでも雰囲気もへったくれもない。

「小さいしのぶちゃんの力じゃ、ドアは壊れないよ。諦めて、俺と話ししない?」
数十回とドアノブ目掛けて振り下ろしているが、壊れるどころか傷ひとつついてなかった。こめかみに汗が流れ、肩で息をつく。
「ほらぁ、息上がってる! こんな無駄なことで体力を消費して欲しくないんだけどなぁ」

頭にきた。
……っそれなら、貴方がやってください。その無駄に大きい図体は脂肪で出来てるのではないでしょう」
ベッドに腰をかけて、優雅に寛いでいる男に向かって言う。

「俺がしのぶちゃんとずっと二人っきりでいられる極楽を壊すはずないでしょ。ずっと、ここにいたいくらい」
「この鉄パイプで頭かち割りますよ」
「いくら何でも死んじゃうね。そうしたら、しのぶちゃんはずっとここから出れなくなるよ。あ、でも、死んだ俺の体を使ってセッ」
「前言撤回します、せめて黙ってください」

それでも三十分は頑張った。
ひたすら絶望感に打ちひしがれ、鉄パイプを抱えて床に座り込む。

「満足した?」能天気に言う。二人の間の温度差がますます広がっていった。「別に、そんなに思い悩むことじゃないよ」
「逆に貴方は思い悩んでないか、理解に苦しんでいるところなんですが」
「だって、しのぶちゃんはこの部屋から出たくて、俺はしのぶちゃんを抱きたい。その双方の利益が一致する解決作は用意されている」ニカっと笑う。「ほら、考える必要ないでしょ」
「その解決策に絶望しているんです」
飄々と言葉を並べる男を睨みつける。

「え? 何で? 俺の性器をしのぶちゃんの中に挿れるだけなのに」
「その言い方やめて下さい」
言葉に被せかければ、こちらの反応がまるで分からないと男は困ったように眉を顰めた。
「貞操なんて今どき大切にするものないでしょ? それに、しのぶちゃんは処女じゃないんだし」
一瞬で言葉を失った。驚愕した表情を浮かべる自分に笑顔で言う。

「俺はしのぶちゃんのことなら大抵のことは知ってるよ。調べたからね。いつ、どこで、どんなの男に抱か」
「正気とは思えませんね……貴方、頭大丈夫ですか?」
「えーっ、刺々しいなあ。ふつう、男なら好きな女の子のことは何でも知りたいと思うものだよ」
「貴方が普通って言葉使わないでください」

「さて、どうする?」その次の言葉は声色が一転した。
「次は何をする? ここにはめぼしい食料はない。水すらもないね。生きて生活するには最低の環境下だ。飲まず食わずに人間が生きていられる時間はせいぜい三日間でしょ。その極限状態まで考えるって言うなら付き合うよ。たくさんお話しできるね」

……っ」
この言い分だけは男の言う通りだ。状況は変わらず、なお長引けば次第に状況が悪くなる。おまけに選択肢がどんなに自分の意に沿わないものであっても先に望む結果が用意されているから、なおさら決断は早いに越したことはない。
おもむろに男は立ち上がり、近づいてくる。急いで立ち上がった。

「何で鉄パイプがあるのか不思議だったんですが、解りました」鉄パイプを両手で握り直した。「全て終わった後に貴方の頭を殴って記憶を飛ばすためですね」
そう言い放つと男は頬を赤く染めて、両手を広げ恍惚に言う。
「しのぶちゃんを抱いた後なら、頭をかち割られてもいいよ」
距離が縮まる。自分よりはるかに大きい体躯が迫ってくるのだ。思わず、後ずさると背に壁が当たった。そもそも、ベッドしかない狭い部屋なのだ。逃げ場はない。

「こんなの握ってたら抱けないでしょ」
突きつけている鉄パイプの先を片手で掴むと、大した力も入れずに容易く抜き取った。
ふてぶてしい笑顔を向ける。
「しっかり持ってないからとられちゃった」くるり、後ろを向いて最も遠い部屋の角に立てかけた。「じゃあこれ、ここに置いとくね」

再び、こちらに歩いてくる男を睨みつけた。深いため息をつく。そのままベッドに腰をかけて、上着を脱ぎ、半ばヤケのようにシャツのボタンに手をかける。何はともあれ、男に脱がされるなど御免だ。

「え、自分で脱いじゃうの?」
焦ったように近づく男から逃れるように、ベッドに上がって腰を引いた。男が片足をベッドにかけるとスプリングが大きく揺れる。這ってくる男の肩をこれ以上近づかせないように足蹴にする。
「無駄なことしないで下さい」

「つれないなあ」口を尖らせて呟くと、自分の足首を掴んだ。「でも、それはしのぶちゃんの好きにさせてあげる」そしてこれ見よがしに、ストッキングのはいた足を噛む。薄手の黒いストッキングは容易く伝線して使い物にならなくなった。

……っく」
まずいと思い振り解こうにも、足首を掴む手から逃げられない。虹色の瞳孔を見開き、獲物を追い詰めたかのような笑顔を向ける。
何だ、その顔、すごく怖い。
寒気がした。絶体絶命とはこのことを指すに違いない。

「可愛いね、しのぶちゃん」
あの時、鉄パイプで殴り殺さなかった自分を呪った。



***



異性との経験が浅い自分でも解る。間違いない。
この男、しつこい。
普段は異常な粘着質っぷりを発揮する嗜虐的な男が、ベッドの中では優しい紳士に変わるなど甘い考えは持ってはいけない。むしろ、輪にかけて酷い。

……っ、……んんっ」

自分が感じる場所を探し試しては、見つけた性感帯をずっとなぶってきた。指と舌で執拗に、ただひたすら責め立てる。どれくらいの時間が経ったのか分からない。ぐちぐちと秘部と蕾を指で弄びながら、白いシーツの上で足先をピンと張り詰める身体を楽しそうに眺めていた。

「女の子は足を伸ばして達する癖がつくと、なかでイけなくなるって言うけどどうなんだろうね?」
指を引き抜くと秘部からとろり愛液が流れ出た。
……っ」
「ただの噂かな? 俺はやっぱり入れたなかで気持ち良くなってもらいたいんだが」
そんなの知ったことではない。勝手に考えていて欲しい。
距離を取るように腰を引くと、抜け目ない男に気づかれた。
「まだ愛撫している途中なのに」
腰を両手で掴まれて、引き戻される。シーツが波打った。それから脇腹をさすり、腹部を撫で、臍を親指でなぞる。
「うわー……、本当に腰、細いね。ちゃんと食べてる?」
「うる、さい……っ」

対する男の身体は大きい。厚い胸板に割れた腹筋、筋肉の張った頑丈な腰回りを受け入れるには、細い身の自分ではかなり脚を開かないと無理だ。男の手が両腿を持ち、開く。
「だいぶ濡らしたと思うんだけど俺の入るかな」
濡れた秘部に擦り付けた。異性といえども同じ人間の身体の一部である臓器である。しかも初めて見るものでもない。
だが、あまりにも記憶と違う質量に血の気が引いた。男と比べると余計に細く見える自分の下腹部にこれを受け入れられる自信がない。

「ねえ、前の男よりも大きい?」
「何を言ってるんですか」
「えーっ、教えて欲しいんだけど」
「忘れましたよ」
…………そんなこと気になるんですか? 男ってわからないですね……
……しのぶちゃんは忘れても、身体は覚えているものなんだよ」
その一言を口にするときだけ、男の顔に表情が消えた。ぞくりと悪寒が走る目線から逃れるために顔を背けてドアの方を見る。
ドアはどうなった?
今にでも解錠の音が響いて開かないか、すがった。そんな都合の良いことはそうそう起こらない。
「うん、ここから出るために頑張らないとね」

囁くと、脚を開かせたまま、腰を掴んで先を宛てがう。そして、あっと思った時には遅かった。
「あ、ああ……っ」
愛路を割り開くように、太い屹立が押し込まれていく。その直後に鋭い痛みが襲う。身体が二つに引き裂かれそうだ。全身が強張る。
……、っふ、……ぁ」
脅威を感じた身体の防衛本能で痛みから逃れようとする腰を、骨太い男の両手がしっかりと掴んで引き寄せる。ずぷっと音を立て入り込む楔に、息を切らして喘いだ。瞳に涙が溜まる。

「初めてじゃないのに、狭いなぁ……でも、すごい……これがーー」
陶酔した声を出す。その男の手つきは乱暴ではないし、むしろゆっくりと押し進められている。だが、内臓が押し潰されるような感覚と、身体の中心を串刺しにされる痛みから逃れたかった。
「ふ…………っ、あ」

「ずっと、しのぶちゃんを抱きたかった……
片手を顔に伸ばし、頬を撫でる。
……っ」
「本当に、こんな感覚があるんだね、気持ちいいんだね」
うるさい、黙れ。
必死に抵抗している。押し返したり、足掻いている。
ただ、男の身体が固く重くて身動きができない。為されるがままだ。
ーーーーっ。
男が体重をかけると、含んでいるものが奥に当たった。思わず、目を見開く。
なに、これ。
巡る血が重力に逆らって、行き場をなくす。足元から崩れ落ちていく感覚に陥った。
怖い、がまず最初にきて、そこから何も考えられなくなる。
「しのぶちゃん?」
急に襲ってきた衝動を逃がそうと、はくはくと口で荒い呼吸をする。ぞわぞわ、と下から上へ背筋が泡立つ。
ごくりーー男の喉が大きく動き、呑み込み恍惚と微笑んだ。
…………いきなり、締めないでおくれよ」
…………っ」
言い返す余裕はない。目の奥がちかちかと光る。喉に迫り、溢しそうになる声を噛み殺したくて指を噛むが、ものの数秒で手首を男の手に掴まれて引き剥がされる。そして、腕をシーツの上に押さえつけられた。
男の熱の籠った目から逸らせない。
「っ、ふ…………、」
下腹部から込み上げてくる快感に背を反らす。
頭の中が真っ白になる。
怖い、から、気持ち良いに変わった。
身体全体が張り詰めた糸の如く引き攣り、ある一点を越えぷつりと切れて弛緩する。波に呑み込まれた身体の芯は熱く溶けそうだ。足先が痺れている。
そして、指先ひとつ動かすのも億劫になるくらいの倦怠感が渦巻いて力が入らなくなった。

「ーー嬉しいなぁ」
男の大きな手のひらが頬をさすってから、汗で顔に張り付いた髪を指で払って、そのまま頭を撫でる。
「気持ち良くなってくれたんだね」
陶酔したように囁いた。
「ほら、まだ口開いてる。息が続かない?」口のなかに親指が入ってきて、舌を撫でる。こちらは身体中の熱をなんとかして逃して必死に呼吸しているのに、お構いなしだ。唾液が溢れて唇の端から流れる。「しのぶちゃんのこんな顔、見たことないよ」はあ、と感嘆の息を吐く。「いいね。可愛いね。ずっと、見ていたいなあ……

「ふ……、ん」
おもむろに、顔のすぐ横に男がもう片方の手をついた。何をするつもりかと目で追うと、ぐしゃりとシーツを握り潰したものだから驚いた。男の二の腕が張り、手の甲に血管の筋が浮かんでいることから、かなり力が入っているのが傍目で解る。
「んぁ……っ」
口に指が突っ込まれているので、上手く喋れない。
急に現れた凶暴性に目を見張った。

いつも朗らかに笑う顔から表情が消えた。
「同じように、しのぶちゃんのなかに挿れて、味わって……この顔を見て、声を聞いて、抱いた男がいるんだよね」
声が低くなる。見下ろす男の顔が影に入り、圧力も相まって悪寒がする。
一瞬、虹の目に文字が映った気がした。
まったくの別人のように思える、この男は誰だ。
「頭の中では理解していたつもりだけど、やっぱり、だめだなぁ……
表情と気配とは裏腹に、舌を優しくなぞる指が不気味だった。
「しのぶちゃんをもっと早く見つけて、捕まえられてたら、しのぶちゃんの初めての男は俺だったのかな」

弄んでいた口から指を引き抜く。ちゅく、と音がして唾液の糸を引いた。男は自分を見下ろしながら、濡れた指を今度は己の舌で舐めとる。
それから、キスをしようと顔を近づける男に告げる。
「それはただの嫉妬です」
白橡の髪が額にかかる距離で、はっと目を見開く。
……嫉妬」
へぇ、これが。
そう男は呟いた。
……男の嫉妬は……見苦しい、ですよ」
「酷い言い様だね」ニコリと笑うが、それが本心のものではないことくらい解る。「知った時はどんな地獄の責め苦よりも苦しんだというのに」
「地獄を……知ってるみたいじゃないですか……っいささか、大袈裟では?」
「まさか」

自分より遥かに大きい体躯が重なる。腕で跳ねのけようとするが、まったくの無駄だった。目の前に厚い胸板がきて、男の顔は頭上にある。両手をまわしても届かない肩幅に萎縮し、まるで自分の身体を丸呑みできるのではないか思うほどの圧力がある。圧迫感がすごかった。身動ぎするが、もちろん微動だにできない。

「地獄があるって教えてくれたのはしのぶちゃんだよ。もうね、遠く長い間だった。想像が及ばないくらい」
「何を、言ってるんですか……?」
「だから俺がどんなにしのぶちゃんに恋焦がれていたか、思い知って欲しいね」