三毛田
2025-12-25 23:19:06
1073文字
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17 ち. ちっとも気付かない

17日目
君は気づいてくれない

「丹恒、好き」
「そうか」
「む~」
「穹ったら、今日もフラれてる」
 今日も丹恒に好きだと告げるけれど、雑にあしらわれて。
 そんな俺たちのやり取りを見て、なのは揶揄うように笑う。
「用がないなら、出ていけ。邪魔だ」
 今日も素っ気なく、つっけんどんな態度。
 こちらを一切見ていない。だから、ちっとも気づかない。
 俺が、丹恒を見るその目に宿る熱が、どれくらい強いものなのかを。
「穹、行こう」
……うん」
 なのに腕を引かれ、資料室を出ていく。
 丹恒は気づかないけれど、彼女は知っている。気づいている。
「なの、どうしよう。苦しい」
「うんうん、そうだよね。アンタがどれだけ丹恒のことを好きなのか、ウチは知ってるよ」
 膝の上に置いた拳に、そっと手を重ねて。
 慰めるような触れ方に、涙が出そうになる。
「こういう時は、部位ッとおやつ食べたりすると気分が変わるよ! 後は車掌さんがパーティーの準備を手伝ってほしいって言ってたから、気分転換に手伝いに行こう。ね?」
「うん……手伝う」
 泣きそうになったの我慢したからか、自分でもちょっと幼い喋る方になった。
 でも、それに気づいても彼女は何も言わない。ただ黙って、俺の手を引いてパムの元へ。
「なんじゃなんじゃ。凄い顔になっておるぞ」
「ぱむぅ」
「よしよし」
 膝をついてパムに抱き着くと、優しく頭を撫でてくれて。
「また丹恒に何か言われたのか?」
「今日も丹恒にアタックして、フラれてるの」
「なるほど」
「それで、気分転換に手伝いに来たの」
「今は特にやることはないんじゃ。じゃが、パーティーで出すケーキの試作をしたから、感想をくれないか」
 と、皿に乗ったケーキを俺たちへ。
「いただきます」
「いっただきま~す! うん、美味しい!」
「おかしいところはないかの?」
「うんうん。多分、ウチや穹は好きな味だよ」
 促されたので、フォークで切って口へ。
「うん。美味しい。俺も好き」
 俺の言葉に、パムはニコニコと嬉しそうに。
「二人のお墨付きなら、これでよいか。他のは、当日のお楽しみじゃ」
「やった~! 何か手伝うことがあったら、遠慮なく言ってね」
「うん。依頼で不在じゃなかったら、手伝いに来るから」
 そう伝えたところで、視線を感じ。振り返ると、丹恒。
「丹恒」
「気分転換に飲み物を貰いに来ただけだ。すぐに戻る」
「どうせなら、一緒にお茶しようよ。ね?」
 数秒考えるそぶりを見せ、それから俺の隣に腰を下ろす。
「試作じゃ」
「ありがとう」
 淡々とケーキを口へ。