ななき
2025-12-24 01:27:42
1261文字
Public 吸死
 

Dear Hunter,Dear Vampire

(ドラロナ)大体三十年後のラブレター。
昨年発行の同人誌に入れるために書きましたが、没にしたやつです。時効だと思うので放流。

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親愛なる退治人へ

しっくりこないな。
退治人ロナルド、私の城の下男、脱稿ハイゴリラ、新横浜の銀の弾丸、
もしくは、私がただひとり愛する人間、木下日出男へ。

君がこれを読んでいるということは、私はもう君の側にいないのだろうね。
何がどうなってそうなったかは、これを書いている私にはわからないし、考えることもしないよ。
考えるだけで間違いなく死ぬのでね。

今、私の膝にはジョンが居て、すぐそばのテーブルにはデメキンと死のゲームが居て、
メビヤツの稼働音が聞こえている。
ヒナイチくんは留守。半田くんは今日はみていない。

私は、君の寝顔を見ながらこれを書いている。

この街にきてから一秒だって退屈する暇がない。
君より面白い人間なんてどこにもいない。
半裸に羽を背負ってリサイタルを繰り広げ、バナナフリッターをねだって私を殺しジョンを泣かせていた五歳児のくせに、「吸血鬼だ!」の一言で一流の退治人の顔をして飛び出していく男より面白い人間なんかいるものか。羽、背負ったままだったし。

なにが言いたいのか?
簡単なことをひとつだけ伝えておこうと思ってね。

愛しているよ。
ここにいる誰もが君を愛している。
たとえ今、君の側に誰もいなくとも、これを書いている私たちが、君を愛していることだけは永久不滅の真実だ。

どうか、信じてほしい。
愛しています。


W・ドラルク


追伸
洗濯物干しといて


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親愛なる吸血鬼へ

クソ砂、雑魚、押し掛け居候家事おじさん、変身ヘタクソおじさん、
もしくは、俺の唯一、ドラルクへ

貴方が残してくれた手紙を読みました。
もう三十年も前の、付き合いはじめたころの貴方が残した手紙を。
貴方の棺桶の隙間から出てきた、絶対、書いたことを忘れているだろう手紙です。

バーーーーカ。
お前、自分が先に死ぬかもしれないって考えてたんだな。
それとも別れるつもりでいたのか。

今、お前はジョンと一緒にキッチンでクッキーを焼いてるよ。
メビヤツと死のゲームは何か通信中。最近仲がいいんだよな。
キンデメさんは食事中。
ヒナイチと半田は、偉くなったからさすがに会える回数が減ったけど、
お前が焼いているクッキーの半分はヒナイチが持っていくだろうし、半田も週末には顔を出すぞ。

とはいえ、どちらが先に逝くかなんてことは当然わからないので、私も貴方に手紙を残します。
若い頃の自分の手紙と一緒に見つけて、恥ずかしさで枕抱えてジタバタするといいと思います。


お前が事務所に無理やり居座ってから三十年経ちました。
俺もお前も、まだシンヨコで楽しくやっています。

お前が、お前たちが、これからも馬鹿みたいに賑やかに暮らしていくことが俺の願いで、幸福です。
俺になにがあろうと、俺がどこにいようと、俺が人間であろうがなかろうが、です。

どうか、忘れないでください。


木下日出男


追伸
洗濯物干しました


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