三毛田
2025-12-23 23:00:58
1083文字
Public アドベント25
 

23 03. 全て受け入れる

23日目
受け入れられる男になる!

 俺は穹! 星穹列車の乗員で、新人開拓者!
 そして、今はとてつもなくピンチ!
「穹!」
 声がして、そちらを見ると丹恒。
「来い!」
 手にしていた撃雲を離し、両手を広げている。
 ちょっと前までならば、彼のことも信じられず決断することなんかできなかっただろう。
 手を離し、丹恒に向かって落ちる。
 飛び降りたというのに、彼は俺を抱きとめてくれて。
 衝撃を殺しきれず、そのまま二人で地面を転がるのかと思ったけれど、踏ん張っていた。
 しかも、全く動いていない。
 どういう体幹をしているんだ、こいつ。
「無事か?」
「無事って言えば無事だけど、たぶん無事じゃない」
「なるほど」
 俺の頭のてっぺんから爪先まで、点検するかのように触れた後。
「大きな怪我がないようで、よかった」
「あっ」
「なんだ」
 ホッとしたような声を出す丹恒に、キュッと胸が締め付けられて。
 と思ったのもつかの間。追いかけられて追い詰められていたことを思い出し、声を上げたところで俺を追いかけてきていたのが飛び降りてきた。
 のだが。
「邪魔だ」
 撃雲の柄で、弾き飛ばされて。
「お前が元凶か」
 初めて見る、激しい怒りの表情にちょっと怖くてちびったのは内緒。
「丹恒」
「どうした」
 馬乗りになり、関節を外しながらこちらを振り向く。
 だから、淡々とそれをやるのは怖いって! 悲鳴を上げてるじゃん!
「警備に突き出してからでもいいか」
「う、うん」
 俺が彼の所業に引いて言葉が出ないでいると、どこからか取り出したひもで縛り上げて肩に担いで歩いていく。
 男前すぎるだろ。
「お疲れ」
「ああ」
 警備に突き出し、事情聴取も受けてへとへとに。座ってうなだれていると、丹恒が飲み物を買って来て渡してくれた。
 ありがたやありがたや。
「何でもかんでも受け入れる。っていうのを感じた気がするんだけど、どうなん」
「気のせいじゃないな。どんなに情けない状態のお前でも、俺にとっては大事だからな」
「嬉しいけど、ちょっとくらい格好つけさせてよ」
「しばらくは無理だろう」
 しばらくはってことは、いつか叶うってことだよな!
「丹恒に黄色い悲鳴を上げてもらえるように、頑張るからな!」
「あまり期待しないでおこう」
「酷い!」
 中身を空にした容器を置き、丹恒に飛びつく。
 やっぱり彼は、難なく俺受け止めて。
 本当どういう体幹をしてるんだよ。
 何だか、負けた気分になる。別に勝負はしてないけど。
 丹恒の全てを受け入れて、さっきみたいな状況の時は彼を受け止めきれる男になるぞ!